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Blue Rose
第二十五話 外の世界へその三

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「嬉しいわ」
「お礼は別に」
「同じね、お礼を求めない者同士」
「そうなりますね」
「そうね、じゃあお互い様ということにして」
 そのうえでというのだ。
「このお話は終わらせましょう」
「はい、じゃあ」
「今日はこれから挨拶に行くわよ」
「学校まで、ですね」
「校長先生にね、それと制服や体操服も着てみるから」
 通う高校のというのだ、これから。
「そして明日はアパートにも行って教科書も観るわ」
「本当に忙しくなりますね」
「そうよ、そうしたことも頑張ってね」
「そうさせてもらいます」
 優花も頷く、そしてだった。
 優花は実際にこの日彼女がこれから通うことになる高校に入った、副所長が車を運転して彼女を案内してくれた。
 その学校に入ってだ、優花はこんなことを言った。
「何か」
「八条学園とは違う?」
「はい、どうも」
「そうなのね、私はあの学園のことは知らないけれど」
「大学まで違っていたんですね」
「そう、実は生まれも育ちも福岡なの」
 隣にいる優花に微笑んで話す。
「大学までね」
「そうだったんですか」
「そうだったのよ」
「福岡の方ですか」
「意外かしら」
「はい、どうにも」
「言葉に訛りがないわね」
 九州、それも福岡のだ。
「私は」
「今お聞きしても」
「そうね、子供の頃からなのよ」
「福岡訛りがないんですか」
「普段は福岡の言葉を喋ってるわ」
 日常生活では、というのだ。
「けれどね」
「言葉のアクセントがですか」
「そこに訛りがないのよ」
「そうなんですか」
「そう、ずっとね」
「福岡の言葉も独特のアクセントがありますね」
「九州は何処でもそうだけれどね」
 福岡に限らない、熊本や鹿児島もそうであるし長崎も同じである。所謂九州弁のアクセントがそこにはあるのだ。
「そうよね」
「けれど副所長さんは」
「アクセントはないの」
 その独特の癖がというのだ。
「これがね」
「そうなんですね」
「ええ、ただ好きな食べものはね」
 副所長は優花にその話もした。
「福岡のものよ」
「明太子とかガメ煮とかですか」
「ラーメンも好きよ」
「博多ラーメンですね」
「そう、豚骨スープのね」
 まさにそれをというのだ。
「麺は細くて」
「福岡のラーメンですね」
「ラーメンはそれよ」
「そうですか」
「長崎ちゃんぽんも好きだけれど」
「スープは豚骨ですか」
「それに限るわ、それと鶏肉も好きよ」
 これもまた福岡だった。
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