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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十九話 月夜の黒羽
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――――今より幼い頃、私は自分が人間じゃないことを知った。
人よりケガの治りが早い。
人より身体能力が高い。
人より感覚が鋭い。
人の形をしてるけど、人より秀でてる私の正体は『吸血鬼』。
夜の一族って呼ばれてる吸血鬼の一族で、私の一家はその中でも名家だってお姉ちゃんが言ってた。
だけど次の世代が生まれる度にその血は薄れていって、私はその中で最も少ない量なんだって言われたけど……それでも、吸血鬼の血が混ざってることには変わりなくて。
人間じゃないことにショックを受けてる暇もなく、お父さんとお母さんが交通事故で亡くなった。
いくら常人離れした吸血鬼でも、死だけは平等だった――――そんな話しを、私の知らない大人たちが話してた。
残された私の側にお姉ちゃんとメイドのノエルとファリンの三人がいてくれたおかげで、私は苦痛に飲まれずに済んだ。
お父さんとお母さんが残した莫大な遺産も、三人が上手く管理してくれてる。
私は家族のおかげで、そしてなのはちゃんとアリサちゃん達のおかげで、普通の人間と同じように過ごせてた。
だけど、誘拐されて思い出した。
私はやっぱり、普通じゃないんだってことを。
*****
車に乗車していた数は、誘拐犯が五人でバニングスと月村で二人。
コンテナの外で門番みたいなことをしてるのが二人。
この時点で誘拐犯が七人。
「コンテナの中はどうだ?」
《……これはこれは》
「どうしたんですか?」
笑ったような、呆れたような声が返ってきた。
アマネの反応に俺も柚那も首を傾げると、アマネは謝罪混じりに答える。
《申し訳ありません。 コンテナ内部には十名の大人の反応がありますが、誰も彼もが銃を所持して厳戒態勢です》
「それだけアリサとすずかが必要ってことか」
「やはり金銭ですか?」
「そう考えるのが妥当だろうな」
恐らく二人を一度に誘拐、だなんて企んではいなかっただろう。
複数より一人を狙うほうが誘拐と言う点では簡単だからだ。
けど、運よく二人揃ってたから……ってことだろう。
そして月村もバニングスも、海鳴では有名なお嬢様だ。
金銭を狙うには十二分な人質だ……けど。
「犯人たちにとって計算外があるとすれば、俺と柚那の存在だろうな」
「足を引っ張らないよう、頑張ります!」
真剣な表情から感じるわずかな緊張。
だけどこれくらいならむしろ必要な緊張感だろうと思い、俺はそのことには触れずに頷く。
「よし。 なら、内部図を暗記したら手筈通りに動いてくれ」
「はい!」
どれほど相手の数が多か
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