暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十九話 月夜の黒羽
[7/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
血鬼なんですよ?」
「血って美味しいの?」
「飲んだことありません」
「それは吸血鬼的にダメじゃない?」
「私は吸血鬼の血が薄いですから、欲しいと思ったことがないんです」
「なら問題ないじゃん」
「でも普通じゃないんです」
「どの辺が?」
「私、どんなケガをしてもすぐ治るんです」
「女の子はケガ少ない方がいいよね。 治りが早いなら尚の事いいじゃん」
「身体能力が普通じゃないんです」
「オリンピック選手目指せば? ほら、金メダル取り放題だ」
「感覚が鋭いんですよ?」
「かくれんぼしたら最強の鬼じゃん」
「人じゃないんですよ!!」
「どの辺が?」
「だから!!!」
気づけば私は声を張り上げて、叫ぶように喋っていた。
彼は最初から変わらない、落ち着いた口調なのに、私はどうしてか怒ってるみたいに声を上げた。
こんなに叫んだこと、今まであったかな?
「私の全部が、人じゃないんですよっ!!!」
「……ホントにそうか?」
「え……?」
そんな私に彼は反論するでもなく、お世辞の言葉をかけるでもなく、ただ頷いた。
何も質問せず、本当にただただ頷いた。
予想外の反応にあっけを取られていると、彼は私の視線と同じ高さまで膝を曲げて、真っ直ぐにこちらを見つめてきた。
突然のことに驚く私。
そんな私に彼は、ゆっくりと笑みを見せた。
「寂しかったよな。 今まで、よく一人で我慢できたな……偉いよ」
「あ……」
そう言って彼は右手を私の頭の上に乗せて、撫で始めた。
優しく、優しく、慈しむように。
私は泣いた。
気づいたら泣いていた。
溢れてくる、悲しみ、寂しさ、羨ましさ。
助けて欲しいって思った。
化物としていきなきゃいけない、孤独な運命から、助け出して欲しいって思った。
「……まぁでも、化物でもいいんじゃない?」
「え……」
だけど彼は、否定をしなかった。
だけど彼は、笑顔を絶やさなかった。
私を真っ直ぐに見つめて、優しい声音で話してくれた。
「化物だったら友達を作っちゃいけないのか? 化物だったら喋っちゃいけないのか? 化物だったら一人にならなきゃいけないのか? ――――違うだろ?」
彼は笑顔だけど、笑ってるんじゃなくて真剣な表情で話す。
まるで自分も、その辛さを知ってるみたいに。
「化物だって幸せを求めていんだよ。 化物だって友達を作っていいし、恋をしたっていいし、楽しんでいいんだよ」
「なんで……そんなこと、言えるんですか?」
化物でもないアナタが、どうして?
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ