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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十九話 月夜の黒羽
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ろうと、どれほど相手が強かろうと、所詮は魔法を持たない人間だ。

 侮りでもなく傲りでもなく、事実を事実として捉えるならば、悪いが俺と柚那の相手じゃない。

 魔導師とは“そういう存在”なのだから。


*****


 私とアリサちゃんは背中に銃口を突きつけられながら、コンテナの中を歩かされた。

 沢山の積み荷が作り出した迷路の中を歩かされると、奥に広いスペースがあって、そこには黒服の大人が沢山いた。

 みんな、手には戦争の映像で見るような銃を持っていて、顔は凄く殺気と警戒心に溢れているように見える。

 そんな場所に一番奥で落ち着いてソファに座る、一人の男性がこちらを見つめた。

 周りの人達より一回り体格がよくて、落ち着いていて、だけど誰よりも『悪』って雰囲気を出している人。

 その人がこの人たちのリーダーなんだって、一目で分かった。

「お二人共、初めまして。 お嬢様お二人に対し、手荒な真似でお連れして申し訳ない」

 慣れた口調で喋る男性は、しかし心にもない言葉を並べて私とアリサを見つめる。

 何が目的なのか……なんて、考えればやっぱりお金なんだと思う。

「ふざけないでよ! アンタ達、こんなことしてタダで済むなんて思わないでよね!」

「アリサちゃん!」

 我慢できなかったのか、アリサちゃんは怒りを込めた言葉を放つ。

 私は咄嗟に声をかけたけど、一度出た言葉をなかったことにはできない。

 周囲にいた人たちが持つ銃が、私達の方を向いた。

 みんな、いつ警察が来るかもわからない緊張感や焦りで不安定な状態だから、下手に煽ったりなんてしたら殺されちゃう。

 だから無言で貫こうと思ってたんだけど……。

「お前ら、こっちに銃口向けてんじゃねぇよ! 俺に当たったらどうすんだよ!?」

「……すみません、ボス」

 リーダーの人が怒鳴ると、周囲にいた人たちは銃口を下げて再び元の配置に戻っていった。

「申し訳ない。 が、こちらとしてもあまり抵抗されるとびっくりして引き金を引いてしまいそうなんでね。 ――――少しは落ち着いてもらえないか?」

「っ!?」

 アリサに向けられた重い、重い視線。

 常人のアリサでも感じ取れたそれによって、アリサは言葉を失って、そのまま耐え切れずに床に仰向けで倒れてしまう。

「アリサちゃん!?」

「安心して欲しい。 ちょっと威圧して、気絶してもらっただけだから」

「……」

 蛇に睨まれた蛙って言葉があるけど、彼がしたのはそういうことなのかな。

 とにかく、ただ気絶しただけなら安心できる。

 あとは大人しくして助けを待てばきっと――――、

「時に君……月村 すずかは、
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