魔法を使ってみたい!前編
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「昔っから思ってたことあるんだけどさぁ……」
今日も我らがアタッカートウカは軽々と片手で身長ほどもある剣を振り、素早い身のこなしで魔物を翻弄しながら的確に倒していく。
ふわりふわりと服の裾が翻り、その度じゃらりと重く鎖帷子の音も鳴る。食らいかけた魔法を寸前で躱し、見切った魔物の火炎を飛び越え、剣をキラリと光らせて首を狩る。
鮮やかな体さばきに、いくら見慣れても思わず拍手しそうになりながら、トウカのちょっと暗い声に耳を傾けた。
ちなみに、今日も今日とて魔物に囲まれているものだからじっくり話をできる状況じゃないんだけど、そんなの今更なんだよね。
「剣とか素手とかで肉弾戦するのはとーーーっても楽しいんだけど、魔法、使ってみたいなぁって」
トウカが大きく剣を振り、発生した大きすぎるかまいたちのような剣気が魔物を全部吹っ飛ばす。お見事。……じゃなくて。
「魔力がないのは今更だけどさぁ、ちょっと杖で戦ってみよっかなって!大丈夫、いざとなったら《《杖で戦うから》》。物理的に」
「いいんじゃないの?」
「……止めないのか」
やったぁ!と眩い笑顔を浮かべて……いると思う、背中しか見えないし……手袋から召喚するごとく杖らしき武器を取り出した姿を見て、ククール止めれるの?無理でしょ?
「トウカのことだからさ、不利になるようなことはしないさ。戦うことに関しては」
「そうね。それで……あれは魔道士の杖かしら?」
「火の玉が魔物に浴びせられているでがすね……」
おそろしいほどの勢いで振られた杖からぽんぽん飛び出す小さな火の玉。ひとつひとつは小さくてもものすごい勢いで生み出される数の暴力に魔物は次々と丸焼きにされていく。
ゼシカのメラゾーマの方が威力は上だと思うんだけど、的確に受けたくないところにぶち当てていってる分……タチが悪いな。顔を狙って、顔を守ったところに杖で殴ってるし……あれ、魔法ってなんだっけ。
「魔道士の杖!天罰の杖!雷の杖!マグマの杖!魔封じの杖!ルーンスタッフ!復活の杖!まっだまだぁ!」
降り注ぐのはただのメラ。ただのバギマ。そんなところなんだけど、近づくのもいつも以上に危険な戦闘区域になってしまい、僕らは半ば撤退して見ていることにした。後ろは任せて欲しいけど、土砂降りのように降り注ぐメラ、どこにいても切り刻むバギマの嵐に巻き込まれにはいきたくない。
なにより魔物が哀れになるのは……なまじ体力があることだろうね。逃げられない、避けられないのにメラ程度の何発かでは死ねない、と。そしてなかなか倒されないから最終的には杖でザキられる、と。復活のの杖とかの、使わなかった杖で。
……多分その高そうな杖、そういう用途で作られたんじゃないよね?殴っても使える
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