魔法を使ってみたい!前編
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感覚的に、でいいんだよ?そんなに考え込まないで気軽にさぁ!」
「あ、あぁ。……まぁ、そこそこあるような、といった感じだな」
「あるの?!」
「それは、間違いなく」
嘘でも真実でもないことを言った瞬間後悔した。ぶわっとトウカの大きな目から、ボロボロ涙がこぼれたのを見て、うろたえた。だが、爆発に備えていた俺はドニにいた時のようにスマートにハンカチを差し出し、少しかがんで目を合わせる。そして最高にかっこよく見える角度で笑いかけることに成功した。
「嬉しいなら泣くんじゃなくて笑ってるほうがいいぜ?」
「うん……えへへ、嬉しくて」
「そりゃあ良かったな」
トウカはなんとも嬉しそうに微笑んだ。いつものような好戦的な笑みでも、純粋に楽しそうな笑みでもなくて、はにかむような、そんな笑顔だった。
その時俺は気づかなかったが、エルトが信じられないような顔をして立ち尽くしていた、らしい。
この、いつも誰よりも勇ましいトウカは、ただの一度も泣いたことがなかったらしい。それこそ、トロデーンが滅んだ日も。
・・・・
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