205部分:第二十七話 紅の毒その九
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第二十七話 紅の毒その九
「何故今何もしないのだ?」
「我等の運命が決まったと言っておきながら」
「それこそが負け惜しみである何よりの証拠」
少なくとも彼等はそう思い込んでいた。
「戯言とはな」
「どうやら黄金聖闘士も大したことはない」
「そこまで言うのならです」
アフロディーテは一歩も動くことなくその彼等に対して告げるのだった。
「動いてみれば如何でしょうか」
「動くだと」
「我等がか」
「そうです。是非」
彼は言うのであった。
「そうすればおわかりになられますから」
「ふん、言われずともだ」
「こちらから出向いてくれる」
言いながら今ここにいる全てのインプ達がその身体に力を込めた。そうして。
そのうえで一斉にアフロディーテ達に飛び掛かろうとする。その殺気に満ちた小宇宙が動く。しかし動いたのはその小宇宙のみであった。
「な、何っ!?」
「これは」
彼等は動くことができなかった。動こうとしたその瞬間に全身の力がガクリと落ちそのうえでそれぞれ小舟の上に崩れ落ちてしまった。中には河の中に再び戻ってしまった者すらいた。
「どういうことだ。身体に力が入らん」
「それどころか。目が」
次は目であった。
「目が見えなくなってきたぞ」
「耳もだ」
「そして息が。これは」
「薔薇です」
アフロディーテは彼等に告げるのだった。
「何故私が紅薔薇を河に敷いたのかおわかりでしょうか」
「薔薇!?それではあの薔薇にはまさか」
「毒が」
「ロイヤルデモンローズ」
彼は言った。
「私の紅の薔薇は相手を穏やかな死に誘い込みます」
「薔薇の毒だというのか」
「それでは」
「その通りです。奇麗な薔薇には毒があります」
こうも言うのだった。
「ですから。貴方達はもう」
「くっ、何という男だ」
「毒を仕込んだ薔薇を使うとは」
ここでようやくアフロディーテの恐ろしさを知った彼等であった。
「ピスケスの黄金聖闘士アフロディーテ」
「恐ろしい男だ・・・・・・」
「安らかに眠るのです」
アフロディーテは崩れ落ちていく彼等に対して告げた。
「そのまま穏やかな死へ」
こうしてインプ達は誰もが崩れ落ち倒れてしまった。中国における聖闘士と狂闘士の最初の闘いはアフロディーテがその薔薇を使い完璧な勝利を収めたのであった。
「お見事です」
闘いの一部始終を見ていたミスティがアフロディーテに対して告げた。
「まさかここで技を使われていたとは」
「何事も事前にわかっていれば対処は容易いです」
「事前にですか」
「そうです。先程も言いましたが小宇宙でわかっていました」
彼はこうミスティに述べるのだった。
「ですから。それはもう」
「だからですか」
「後は置いておくだけで
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