第30話『部長』
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真打登場ってか。何が出てきても、全部ぶっ壊してやるよ」
俺は快活に言う。光はそれに不敵な笑みで応えた。
「元気なこと。けど、これを見てまだそんな事言えるのかしら」
「何度でも言ってやんよ。お前の科学なんて全部俺が打ち砕いてやる!」
静寂。俺はそれにいち早く気づく。
今のは少し言い過ぎただろうか。でも、それを訂正できる雰囲気ではとうに無くなっていた。
「そう。わかったわ」
理科室に響いた声。それは光によって紡がれたものだった。
どこか儚げで、それでいて不気味な声。
その中で、彼女がスイッチらしき物を押す動作がよく目立った。
──スイッチが、押された。
彼女が用意した最高の仕掛け。
俺を潰す為に用意した最大の武器。
その解放が今、行われた。
「出でよ!!」
光は叫んだ。その声に呼応して、光の目の前の約1m四方の床が開く。
そしてその穴から何かが出てくるのを、俺は見た。
「ロボット、か…?」
「ただのロボットじゃないわ。──“戦闘用”のロボットよ」
なるほど、そう来たか。
目の前に出てきた体長2m程のロボット。スタイルが良い人間、といった形状だろうか。
黒と白のシンプルなカラーで統一されており、頭部はバイクのヘルメットみたいな具合だった。
「随分とかっこいいな」
「そりゃデザインは大事だからね。結構苦労したのよ」
誉めて、と言わんばかりの光の態度。だが、俺はそれに反応することができない。
率直に言った感想もそうだ。何かしら言葉を発さないと危険だったのだ。
殺意。俺はそれに近いモノを感じた。
ロボットではなく、光からだ。
彼女は薄く笑い、静かに言った。
「痛くしないから、大人しくしててね」
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