第三十五話 別れ
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まで壊れてしまったの。」
キリト「じゃあ、ユイが二十二層の森に現れたのは、」
ユイ「それはある日、いつものようにモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメーターを持つ二人のプレイヤーに気付きました。 喜び、安らぎ、でもそれだけじゃない。 この感情はなんだろう、そう思って私はその二人のモニターを続けました。 会話や行動に触れるたび、私の中に不思議な欲求が生まれました。 そんなルーチンはなかったはずなのですが。 あの二人のそばに行きたい、直接、私と話をしてほしい。 少しでも近くにいたくて、私は毎日、二人の暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。その頃にはもう私はかなり壊れてしまっていたのだと思います。 キリトさん、アスナさん、私、ずっと、お二人に、会いたかった。森の中で、お二人の姿を見た時、すごく、嬉しかった。 おかしいですよね、そんなこと、思えるはずないのに。 私、ただの、プログラムなのに。」
ストレア「みんな、こんな作り物の私を仲間にしてくれてありがとう。 私すっごく楽しかったよ。 でもユイ姉が言ったみたいに私達はただのプログラム。 ごめんね。」
アーサー「はぁ、アホかお前ら、ただのプログラムが上位の命令に逆らえる訳無いだろ。 お前らは二人とも意思を持った人、だ。」
アスナ「そうだよ。 ユイちゃんは私達の家族だもん。」
その言葉を意外そうな顔で受け止めた二人は微笑んで
ストレア「ありがとう。 そんなこと言ってくれて。」
ユイ「でも、もう遅いんです。」
キリト「ど、どういうことだよ、遅いって。」
ユイ「私達が記憶を取り戻したのは、あの石に接触したせいなんです。」
ユイは部屋の中央にある黒い立方体を指差した。
ユイ「さっき私達をこの安全地帯に退避させてくれた時、私達は偶然あの石に触れ、そして知りました。 あれは、ただの装飾的オブジェクトじゃないんです。 GMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールなんです。」
ユイが言ったとたん黒い石の表面に青白いホロキーボードが浮かび上がった。
ユイ「さっきのボスモンスターは、ここにプレイヤーを近付けないようにカーディナルの手によって配置されたものだと思います。 わたしはこのコンソールからシステムにアクセスし、<オブジェクトイレイサー>を呼び出してモンスターを消去しました。 その時にカーディナルのエラー訂正能力によって、破損した言語機能を復元できたのですが、それは同時に、今まで放置されていた私達にプログラムが気付いてしまったのです。 今プログラムは私たちを走査しています。 すぐに異物という結論が出され、私達は消去されてしまうでしょう。 もう、あまり時間がありません。」
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