暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十五話 窮地
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 横須賀鎮守府が敵の大規模な機動艦隊に襲撃された翌々日、長門は主だった艦娘を召集して会議を行った。場所は戦時に備えて地下の防空壕に作られた臨時司令部の会議室だった。このころ、いったん沖ノ島に派遣されていた艦隊の中から大鳳が戻り、代わりに蒼龍が派遣されていた。
「陸奥、損害状況を報告してくれ。」
長門が額に両手を押し当てながら促した。
「高速戦艦榛名が敵との交戦で大怪我を追って現在入院中よ。軽巡矢矧も湾内での戦闘で中破、白露、野分、高雄、麻耶も負傷。医療施設についてはさほど爆撃を受けなかったため、稼働しているわ。」
「誰も轟沈しなかったことは不幸中の幸いよね。」
山城が言った。
「その通りだ。だが、問題はこれからなのだ。陸奥、続けてくれ。」
陸奥は新たにプリントしたA4の用紙を取り上げた。
「備蓄資材が大打撃を受けたわ。燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトの、集積割合にして約46パーセントが被害を受けて消失。高速修復剤も28パーセントが失われたわ。その他食糧、嗜好品、日用品等についても多大な消失が報告されているの。」
「・・・・・!!」
各艦娘たちの間に動揺が走った。
「そして、さらに悪い知らせがあるわ。」
陸奥が皆を見まわした。
「この多大な損害を出した元凶の敵の機動艦隊についてだけれど。この艦隊は沖ノ島に展開していた艦隊ではなく、増援部隊としてミッドウェー方面から進出していた艦隊なの。彼らは沖ノ島を大きく迂回するようにして接近。偵察機からの報告では、港湾に殺到したのはほんの一部だけ。まだ敵には無傷の主力艦隊が残されている。私たちが撃破したのはその先鋒に過ぎなかったのよ。」
「なんだって?!嘘だろ!!」
麻耶が叫んだ。
「ウソではないわ。沖ノ島付近に展開していたイージス戦艦艦隊は、深海棲艦側からのジャミングによって電子システムがすべて役立たずになってしまったの。その結果通信すらできずに漂うほかなかった。道理でいきなりの奇襲だったわけね。それでも遮ろうとした一部の艦はあっという間に敵の攻撃を受けて撃破されていたわ。現在はジャミングが一時的に弱まった隙をついて、艦隊は茨城の鹿島に退避しているわよ。」
「甘かったな。深海棲艦を完全に駆逐したと思い、防衛をイージス戦艦に任せっきりにしてしまったのが、今回のつけだったわけ、か。」
「ええ、零式水上偵察機もそれほど哨戒任務に就かせていなかったから・・・・。」
敵の襲来はこれまでにない苛烈さだった。深海棲艦がヤマト本土を爆撃空襲したのは、以前にもなくはなかったが、これほどまでの積極攻勢はなかった。敵の練度や士気が並々ならぬものだということになる。
「敵の機動艦隊については、今は後回しでいい。」
長門は言った。
「それよりももっと近々に考えなくてはならないことがある。みんなに集まってもら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ