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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十五話 窮地
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たちも何かしなくちゃならない。ね?阿賀野姉。」
「そ、そうね!私にできるかどうかわからないけど――。」
いきなり能代に振られた阿賀野がどぎまぎしながら言った。
「長門さん。」
艦娘たちのさざ波のような会話を割って不意に発言した者がいる。赤城だった。紀伊の席からみた赤城はなぜかこわばった顔をしていた。それは長門の態度に対してというよりも、自分自身に何か重大な秘め事を持っているからのようだった。
「今後の作戦方針はどういたしますか?」
艦娘たちの会話がやんだ。
「今後?今はそれどころではなくなった。今は横須賀鎮守府の復旧と各施設の修復、それに物資をどう確保するかで手いっぱいなのだ。」
「それは重々承知しています。ですが・・・・。」
赤城は一瞬下を向いてから、意を決したように話し出した。
「私も戦闘に従事していて感じたことがあります。このままではヤマトは長くはないと。それは呉鎮守府でのここへの回航前に言われたことですが、今回の事態でそれがますます現実のものとなりました。」
赤城は皆を見まわした。誰もが一様に赤城が何を言おうとしているのか、測り兼ねていると言った表情をしている。
「重ねて言うがこんな状況だ。積極攻勢しようにもそれを完遂するだけの物資はないぞ。それどころか今の状況では鎮守府海域を守備するのに手一杯というところなのだ。」
長門が応答した。
「わかっています。ですから、当初の方針に一部修正を加えたいと思うのです。」
黒板よろしいですか?と赤城は長門と陸奥に確認を求め、同意を得ると、立ち上がって、チョークで地図を描き始めた。誰も口を利かず、ただ黒板に描くカリカリという乾いた音が響くだけだった。
「沖ノ島を制圧して同島を支配下に収めたことは大きな前進ですが、私たちには時間がありません。燃料弾薬については備蓄がないことは重々承知しています。ですが、この機を逃さずにさらに前進して太平洋上に新たな拠点を設けるべきだと思います。」
赤城の手の中のチョークが一点で丸を描いた。
「ここ、ミッドウェーに。」
ざわざわと喧噪が艦娘たちに広まった。ミッドウェーは鬼門中の鬼門だった。前世で日本海軍機動部隊が敗北した地点、そして他ならぬ赤城自身がそこで轟沈した場所だったからだ。

そのもっとも忌むべき名前が当の本人の口から出されたことに誰もが衝撃を受けていた。

「私の構想は端的に行ってしまえば、短期決戦です。ここを制圧し、あとは少数の精鋭高速艦隊で一気にノース・ステイトまでひた走り、連絡を取るのです。」
「ですけれど、赤城さん。今の横須賀鎮守府の備蓄では、ミッドウェー本島に到達できたとしても、そこから引き返せるような量では・・・・。」
扶桑がためらいがちに話しかけた。赤城は目をつぶり、はあっと息を吐き出した。それは扶桑に対してとい
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