第二十五話 窮地
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ったのは、今後の方針もあるのだが、この状況をどうすべきか、ということだ。」
物資が消失した。今後の作戦行動云々以前の問題だ。これをどう補っていくか、どう対処すべきか、今日の会議の課題はまさにそういうことであった。
「各鎮守府に依頼して、物資を融通してもらうように手配できませんか?」
大鳳が提案した。それを受けて各鎮守府から派遣された艦娘たちが一斉にしゃべる前に、長門が顔を上げ、皆を制していった。
「無理だ。これまでも横須賀鎮守府に主だった物資を集積して各鎮守府には必要最低限度の物しかいきわたらせていない。したがって、こちらに回せる余裕など向こうにはない。」
「ごめんなさい・・・・そうですよね。」
大鳳が素直に頭を下げて謝った。
「大陸から送ってもらうにしても時間がかかりすぎます。南西諸島奪還作戦によって海域が安定したといっても、まだまだ予断を許せる状況ではありませんから。」
扶桑が表情を曇らせながら言った。
「内地増産はできないのですか?工廠を拡張して増産体制を強化するとか。」
古鷹が提案した。
「それは今すぐには無理だ。工廠を拡張するにも資材がかかる。それに第一、各種物資を生産するにも原料が必要だ。だが、ヤマトにはその原料そのものが不足している。」
古鷹、そしてほかの艦娘も皆黙ってしまった。要するに今のところ補給のめどは全くと言っていいほどたたない。したがって、今ある資材をもって戦っていくしかないということになる。
「こんなバカなことがあるか!!!」
不意にダァン!!と机をたたいた人物を見て皆が驚いた。それが他ならぬ長門だったからだ。
驚きの視線にさらされながらも長門はそれが見えないのか、再び額に手を押し当てた。
「何故だ・・・なぜ敵の侵入を許した・・・・?これでは戦略構想が根本から修正を余儀なくされてしまう・・・今後我々はどうすればいいのだ・・・・。」
長門は横須賀鎮守府の秘書官であり、全艦娘の統括をしている。そのゆえんは常に武人としての胆力ぶりと冷静な指揮ぶり、明晰な頭脳にあった。それが今乱れに乱れたっているのだ。
「長門・・・・。」
陸奥がそっと長門の肩に手を置いた。はっと長門が顔を上げた。
「すまなかった。どうにも感情を抑えられなくてな。」
すまなそうに皆に謝った。
「長門先輩が謝ることはないですよ。」
吹雪が身を乗り出した。
「皆が同じように不安がっています。あっ!!私ったら・・・・すみません。出過ぎて――。」
「いや、よく言ってくれたな、吹雪。」
長門は穏やかな視線を吹雪に向けた。
「だからこそ私は乱れたってはいけないというのにな。皆がかえって不安がるだろう?」
「長門さんに全部押し付けて、私たちがそれで知らんぷりっていうわけにもいかないからね。」
飛龍が言った。
「私
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