202部分:第二十七話 紅の毒その六
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第二十七話 紅の毒その六
「ですが魚をよく食べまして」
「日本みたいにですか」
「はい。ですから辰巳さんのお店は気に入っています」
彼をしてもそうなのだった。
「魚介類が非常に美味しくて」
「では帰られたらそこにされては」
「まあそのシュール何とやらもいいでしょうけれど」
名前はあえて言わないのだった。
「とにかく。これを食べ終えたらです」
「はい」
アフロディーテは表情を切り替えて真面目になってミスティの言葉に顔を向けた。
「武漢に向けて発ちましょう」
「はい、すぐに」
こうした話をしながら食事を楽しんでいた。そうしてすぐに船を借りそれで武漢に向かった。長江をのぼっていく形になっていた。
船は青銅の者達が交代で動かしていた。ある程度自動でもいけるので船の操縦自体は楽であった。まずは気楽な船旅であった。
長江は雄大であり岸と岸が見えない。穏やかな流れの川は青というよりは黒でアフロディーテ達の周りも様々な船が行き交っている。それはまるで。
「海みたいだな」
「ですよね、これは」
「本当に」
シオンとラシャーがアルゴルの言葉に頷く。今彼等は甲板に出てそのうえで長江の雄大な眺めを楽しんでいるのだった。そこにはアフロディーテもいる。
「ヨーロッパにも大きな川はありますけれどね」
「ラインとかドナウとか」
どちらも欧州を代表する大河である。
「けれどこの長江はその上いってますね」
「本当に海みたいですよ」
ワルターとペテルも感嘆めいた言葉を出さずにはいられなかった。
「これはまたね」
「何ていうか」
「その通りだな。ここまで大きな川はない」
ミスティもまたその言葉をうっとりとさせたようなものにしていた。
「見事なものだ」
「これで戦いじゃなくて旅行なら最高ですけれどね」
「全くですよ」
青銅の者達はついついこんなことも言うのだった。
「まあ言っても仕方ないですけれどね」
「俺達はそれで来ているんだし」
「わかっていればいい」
アルゴルは彼等の話をここまで聞いたうえでまた述べた。
「我々は戦いに来ている」
「はい」
「アーレスの奴等と」
「そうだ。そしてその強さは尋常なものではない」
船の上で目を閉じて立ち言うのだった。
「あのハーデスの軍勢にも匹敵する」
「みたいですね」
「前の聖戦じゃ相当だったらしいですしね」
青銅の者達の顔も見る見るうちに強張り蒼ざめたものになっていく。
「そんな奴等ですからね、相手が」
「油断はできませんね」
「その通りだ。わかっているならだ」
「ええ」
「何時仕掛けてくるかわかりませんからね」
今度はミスティの言葉に応える彼等だった。
「警戒は怠らずに」
「そういうことですね」
「警戒される必要
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