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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十八話 二つの意識
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のはや柚那にとって悪い存在なのか、どうか。

 そうしてバレないように電柱や車を影に隠れながら二人の後を追いかけると、この町で一番大きな病院、海鳴病院についた。

 そこで二人は別れて、アイツは病院の方へ向かった。

「アイツ、病院になんかようなのかしら?」

「怪我……って感じじゃないよね?」

 アタシもすずかも答えがわからず、その場で唸ることしかできなかった。

「病院の中へ行きましょう」

「ダメ」

 アタシの提案に、すずかは即答で否定した。

「なんでよ!?」

「小伊坂さんがケガ以外で病院に行ったってことは、さん自身に持病があるとか、身近の人が入院してるとか……とにかく他人には見て欲しくないようなことがあるってことだよ?」

「そんなの、行ってみたいとわからないじゃない!」

「アリサちゃん!」

「っ!?」

 その時、すずかは珍しく強く声を張ってアタシのことを睨みつけた。

 いつも穏やかな雰囲気のすずかには珍しいことだったから、アタシは怯んで声を出せなかった。

「アリサちゃんがなのはちゃんや柚那ちゃんのことを考えて行動してるってことは分かるよ? そのためにこうして探偵みたいなことまでしてるわけだから……だけど、病院にまで踏み込んじゃダメだよ」

「ぁ……」

 そう言われて、アタシはハッとあることを思い出した。

 それはすずかの家族のこと。

 何年か前……それこそ、アタシやなのはがすずかに出会う前にすずかの両親は交通事故で亡くなったって聞いたことがある。

 当時のすずかはまだ死ぬって言うのが、怖いことってくらいだったから実感がなかったって言ってたけど、今は違う。

 病院で両親を看取ったことは、今でも鮮明に覚えているらしい。

 だからすずかにとって病院は色んな意味で特別なんだ。

 そんな自分と病院に、アイツを重ね合わせてるのかもしれない。

 だからこんなに怒って……。

「……ごめん、アタシ、ちょっと熱くなってた」

「うん、分かってるよ。 アリサ、悪い子じゃないから」

 謝ると、すずかはいつものように穏やかな笑みを返してくれた。

 そのことに安堵し、今日のところは諦めて塾に行こうとした。

 ――――アタシとすずかが二人の男性に捕まったのは、その瞬間だった。

 全ては一瞬だった。

 アタシとすずかが隠れるために使っていた車から見慣れない黒服の大人が現れて、車の奥からこちらに銃口を向けてくる大人のせいで動けなくて、悲鳴をあげれなくて、気づけば手を縛られて口を塞がれて車に押し込まれた。

 自分たちが誘拐されるような立場であることを、今の今まで忘れていた。

 このまま殺されてしまうの
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