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ていく。

直後。

数えるのも面倒くさくなるほどたくさんのうさぎ達が僕のところにやって来る。

僕は表情をだらしなく緩ませる。

ーーこんなにたくさんのうさぎさんがやって来るなんて!
これはもふもふしないと損ってもんだよ!

僕は近くにきたうさぎさんを撫でる。
柔らかな毛並みが、手を優しく包み込む。

……もふもふ!

すごいもふもふ。とってももふもふ。とんでもなくもふもふ。

ーーああ、もふもふ天国は、ここにあったんだな……




…………………………

………………

……



はっ!?

一瞬思考がもふもふ天国へ旅立っていた。
顔に手を当ててみるとよだれが垂れている。

……うわぁ。

我ながら、これは無い。端から見たら僕はお店のドアの前で気持ち悪い笑顔を浮かべてよだれを垂らしている怪しい少年ということになるのだろう。




うん。なんというか、これはない。



……取り合えず、入ってみようっと。
早くこの場所から逃げ去りたいし。

ばつの悪い笑顔を浮かべながら、僕はラビットハウスのドアを開けた。

珈琲の香りが鼻腔を擽った。

耳に届くのは丁度いい音量のクラシック、それとあどけない「いらっしゃいませ」の声。

目に写るはセピアな内装、コーヒーミル、蓄音機、そして店員なのだろう、銀髪の少女。

一瞬にして脳に多大な情報が送られてきたのだが、取り合えず僕が言いたいことは。



ーーうさぎがいない

テーブルの下にも、椅子の下にも、ゴミ箱の中にも、店内のどこにも。

「うさぎがいない!」

思わず叫んでしまった。そんな僕を、店員さんは怪訝な目で見つめてきた。
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