番外編 鎮守府カレー祭り(後編)
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――。
確かに私たちは優勝し、連覇を成し遂げました。でも、そうね。赤城さんの言う通り、私もどこかスッキリしません。あなたが言った通りかもしれない。優勝をつかんでも、心が晴れないのは、大切な要素であの五航戦の子に負けてしまったからだと。
赤城さん、カレーはとてもとっつきやすい料理だけれど、奥が深いのね。元々料理は味も見た目ももちろんだけれど、誰かと一緒に食べ続けるものだということもまた重要な要素なのだわ。特にカレー、そして鍋等はその定番です。カレーはキャンプなどで、鍋はパーティーなどで皆が話しながら食べるもの。私はそういうのはあまり好きじゃないけれど。騒ぐのは苦手なので。
今回のことについては、私は第五航空戦隊に負けたと認めます。・・・赤城さん、そんな顔をしなくても。私だとて時には素直に敗北を認めることもあるの。
一度あなたの言うように、実家に帰って家族と食卓を囲むのも悪くはないわね。でも赤城さん、その時にはあなたも一緒に来てもらいます。私もあなたのご家庭にお邪魔しますので。約束ですよ。
――同時刻、学科棟ピアノ練習室にて、ピアノを弾く瑞鶴――。
翔鶴姉、いいじゃない。私はこんな曲を弾きたい心境なの。はぁ・・・結果は2位か。とても嬉しいけれど、でも、またまた第一航空戦隊に負けちゃったわ。でも、不思議よね。去年は加賀、私のことをとても冷ややかな目で見てたのに、今年は全然そんなことはなかったわ。どうしてかな?
私、ちょっとだけ赤城と加賀のカレー食べてみたの。そしたら、全然味が違ったのよ。あぁ、第一航空戦隊の作るカレーってこんななんだって、私なんかじゃたどり着けないなぁって思った。ちょっと憧れたりもしちゃった。嫉妬もすごくあったけれどね。
えっ、何?翔鶴姉。あぁ、そうね。一つだけ私たちが勝ってたことがあるわよね。家族連れの人たちにとても好評だったってこと。私もカレーよそいながらいろんな人と話ができてとても楽しかった。子供時代に皆とキャンプにいった時にみんなでカレー作って食べたことを思いだしてたわ。
翔鶴姉、私思ったことがあって。カレーっておいしいことも一つのステータスだけれど、でも、みんな一緒に食べて楽しい、おいしいって思うことも一つのステータスなのよね。今回も負けちゃって悔しいけれど、でも、一つ大切なものを勉強できたんじゃないかって思うの。
それと、赤城、加賀のカレーも一つの答えなんじゃないかって思う。純粋においしさを求めるのは、私が日頃強さを求める姿勢に似てるかなって思うの。
ムカつくけれど、赤城、加賀のいいところは私も吸収できるようになりたいって思ったわ。今日はありがとう、これからもよろしくね、翔鶴姉。
あれ?私、いつの間にかショパンのノクターン弾いてる。うん、なんだかね、そういう心境になってきちゃった
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