番外編 鎮守府カレー祭り(後編)
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――大会前日の夜、自室にて、落ち込む瑞鶴を慰める翔鶴――
瑞鶴。そんなに謝らなくてもいいわよ。それなら、加賀さんと赤城さんに謝ってきなさい。え?嫌?もう、しょうがないわね。私が一緒に行って・・・それも嫌なのね。
あなたの気持ちはわからなくないけれど、加賀さんの事、少し冷静になってみてみたらどうかしら?確かにあの方はやや冷たいところがあるけれど、それは不器用さの裏返しだと私は思います。感情をうまく表現できないでいると思うの。本当はあなたのことをとても気にかけていらっしゃると思うわ。そうでなければ、最初から無視をしていたはずです。
ね、元気を出して。今日は私が指を切ったりして悪かったけれど、結局カレーも無事に作ることができたじゃない。味だって悪くなかったわよ。ただ、もう少し味を甘くしたものも一緒に作った方がいいと思うの。お子さんのいらっしゃる家庭も明日みえられるでしょうから。
私たちのチキンカレー、きっと提督や皆さんに受け入れてもらえると思うわ。昨日も言ったけれど、赤城さんや加賀さんのことを意識せずに、自分たちのできることを精いっぱいやりましょう。力みすぎるのもかえって逆効果よ。
今日はもう寝なさい。明日に備えましょう。
――その時、瑞鶴――。
わかっているわよ、翔鶴姉。・・・・本当は全部私が悪いの。でも、謝ることなんてできない。手のかかる妹で、ごめんね・・・。
私、どうしたんだろう?自分でも嫌になるくらいあの一航戦の正規空母のことを気にしてしまう。ねぇ、本当かな?向こうは私の事、気にしてくれているのかな?ライバル心むき出しにして、突っかかっていっても何にもならないのに、どうしてもそうなってしまうの。子供っぽいよね。
たぶん、私の中であの正規空母・・・・加賀は無視できない存在なんだと思う。憧れ?嫌よ、あんな風にはなりたくない!私は私だもの。でも、あの技量は少なくとも無視できない。それと、心構えも。でも・・・・あんな風にはなりたくない。一航戦の二番煎じなんて嫌!私は私だし。
いろいろ混乱していてうまく自分の気持ちを整理できない。うん、もう寝るね。ありがとう、翔鶴姉・・・・。
ねぇ、翔鶴姉。これだけは言わせて。私は手のかかる妹かもしれないし、赤城・加賀に突っかかっていくだけの実力も器量もまだまだないかもしれないけれど、でも、私は翔鶴姉と世界一のコンビになりたいの。第五航空戦隊の二人がどんな戦いでも、どんなことにでも一糸乱れぬコンビネーションを発揮できたら、とても素敵だと思う。
そして、私は私。悔しいけれど、今日加賀に言われて気づいたの。いつまでも翔鶴姉に頼ってばかりいないで、少しずつ自分の足で歩けるようになりたいって思う。なんてね。ちょっと柄じゃなかったかな。
おやすみなさい、翔鶴姉。明日は頑張ろ
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