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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
番外編 鎮守府カレー祭り(前編)
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かさないように気を付けながら、じっくりじっくり・・・・。

 うん、上々ね。


■ 同日夜、夕食後、間宮食堂にて試行錯誤する加賀――。
 赤城さん、私たちに派手さは要らないわ。カレーも日頃の鍛錬と同じ。いくら姿が美しくても中身が伴わなくては意味がない。それを今回は実践してみようと思っただけ。
 さて、私は具材の準備にかかります。寸胴鍋に水を入れて・・・沸騰する間に具材を切らなくては。食べやすいように肉は薄切りの物を使うから、今回は日本酒などで下ごしらえをする必要はないわね。ジャガイモは芽を取って・・・水につけて、灰汁を取り、その間にジンジンの皮をむいてさいの目に、玉ねぎは煮る直前でいいわね。

 赤城さん、一ついいかしら?いいえ、手を止めないで。構いませんから、そのままで聞いていてほしいの。

今回のカレー祭りは、私たちの連覇がかかっています。ここ最近はずっと勝者が変わってきていますが、それはそれだけ皆のカレーに対する好みが多種多様であるということ。その中で私たちが連覇することは、私たちが皆の欲するものを作り続けることができるということになります。第一航空戦隊が実戦だけではなく、カレーなどの料理でも一流であると証明できれば、五航戦のあの子もずいぶんと私たちに対する態度が変わるのではないかしら。
 不純な動機?そうかもしれない。でも、私は漠然と作るよりも不純であろうとなにかしらの明白な目的をもって望みたいと思っているの。

 お湯がそろそろ沸騰してきたわね。玉ねぎを切ってジャガイモの水を切り、肉を別のフライパンで軽く炒めます。同じ鍋で炒めてもいいのだけれど、そうすると焦げ付いたものも一緒に入ってしまい味を損ねるから。次に野菜を軽く炒め、少し油になじんだ程度で引き上げる。沸騰した鍋に具材を入れて、慎重に煮ましょう。

 赤城さん。そんな顔をしないで。大丈夫。どんな思いを抱えていても、私は全力で目の前のカレー作りに取り組むから。

鎧袖一触よ、心配いらないわ。


■ その時、加賀の横顔を見ながら考え込む赤城――。
 加賀さん、大丈夫かしら。何もそこまで皆を意識しなくてもいいのだと思うけれど。それはそれ、これはこれ、そういうことと割り切ることはできないかもしれないのだけれど。せめて料理は皆と楽しく食べるように私は作りたいわ。駄目かしら?私たちの作ったものをおいしいって皆が声を上げながら食べてくれるもの、そういうものを私は加賀さんと一緒に作りたい。

 加賀さん、あなたの気持ちはわかるけれど、力みすぎた作品はかえって皆を遠ざけてしまうわ。


■ その時、間宮食堂の厨房入り口で佇む紀伊――。
あっ!赤城さんと・・・加賀さんがいらっしゃるわ。まいったなぁ・・・・。せっかく練習しようとこっそり来たのに、これじゃ見
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