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STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「前編」
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 煩わしそうに言う男の下で、その 『植物らしきモノ』 は
花唇の中に生えた両眼をキョロキョロ動かし、
遊んでというように緑の双葉を振っている。
 昔流行したというフラワーロックみたいだが、
そんな事より少女は当然の疑問を男に投げかけた。
「あ、あ、あ、あの、 “何” です、か? コレ……」
 鞄を胸元で抱え後退る少女に男は平淡な口調で言う。
「あぁ、 “コレ” はね、 『猫 草(ストレイ・キャット) 』 というんだ。
最も名前がないから私が勝手に付けたんだがね。
一体何処で紛れ込んだものやら。
いつのまにかこの店の中へ入り込み、そのまま居着いてしまったんだよ」
 そう言って肩を竦める男に少女は再び問う。
「そ、そういう事じゃなくって、こ、こんな植物、動物、ですか?
こんなの、TVでも図鑑でも見た事ありません」
「まぁ、そうだろうね。こんなのが何百匹も何千匹もいたら大変だ。
でもまぁ、本当に害はないから 『そういうモノ』 だと納得して貰えないか?
試しに撫でてやると喜ぶよ」
「ニャウ♪ ニャウ♪」
 猫草は相当男に懐いているのか、差し出された指先に花片の頬 (?) を寄せている。
「で、でも……」
 別に生物学を専攻しているわけではないので、
新種がどうだのと騒ぐつもりはなかったがそれでも奇妙なモノは奇妙なので
少女は後退ったまま二の足を踏む。
「ウニャ〜……ニャウ……ゥ……」
 その様子を認めた猫草は、本当に拗ねた猫のように瞳 (?) を伏せ
片葉で鉢植えの縁をなぞった。
「あ、ご、ごめんなさい。いきなりだったからちょっと驚いただけで、
別にアナタが嫌いなわけじゃないわ」
 そう言って少女は足早に男の脇を擦り抜け猫草の前に立つ。
「……じゃあ、触っても、いい?」
「ンニャウ♪」
 意を決して表情が真剣になる少女に猫草は催促するように額を垂れた。
 柔らかな白い手が戸惑いながらもひんやりした頭部をそっと撫でる。
「フニャァ〜♪ ニャ♪ ニャウ♪ ゴロゴロゴロゴロ……♪」
 緩やかな感触が何度か交差するにつれ、
猫草は気持ちよさそうに瞳を細めて喉 (?) を鳴らす。
そしてもっともっとと甘えるように少女の手へ擦り寄った。
 そして、しばしの後。
「……なんか、また眠ちゃったみたいですね」
 双葉の上に花片を乗せて寝息を漏らす植物から、少女はそっと手を離す。
「静かになっていい。すまないね、余計な手間を取らせて」
「いえ」
 澄んだ声で瞳を伏せる男に、少女は笑顔で応じた。
「お礼にお茶でも淹れようか。こちらにどうぞ」
 洗練された仕草で男はそう言いカウンターの奥、
窓際に設置された天然木のティーテーブルへと少女を促す。
「あ、お構いなく、あ……ッ!」
 向けられた背へ
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