STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「前編」
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ンのように見る家見る家、
人の住んでいる気配が一切無いというのも不思議な話だ。
「わっ」
その代わりというのでもないだろうが、何故か異様に猫が多い。
今も自分の足下を一匹の三毛猫が通り過ぎ、
こちらをまるで警戒する様子もなく
外壁を軽々とよじ登りどこかへ消えていった。
(珍しいな。人間が怖くないのかしら?)
玄関の壁で毛繕いをするもの、路駐の車脇で佇むもの、木の上であくびをするもの、
どれも自分と露骨に眼が合ってもまるで気に止めない。
そんな奇妙と言えば奇妙な、
しかし平凡と言えば平凡な風景に少女が退屈しだした頃、
唐突にソレは現れた。
「……!」
周囲の猫に当てられて淡い眠気を漏らしながら曲がり角を進んだ先、
ソコにそれ以上 『道』 は無かった。
代わりにクラシックな風合いをした木造の建物が在った。
「こんな所に、お店?」
何か、街を制作するゲームのように無理矢理路地に店舗をハメ込んだような、
不自然さのある立地。
年代を感じさせる侘びた外観と窓から覗く内観からどうやら骨董屋のようだが、
店の看板も出ていなければ営業中かどうかを判別するパネルもない。
ただ店内から外に灯りが漏れており、中に誰かがいるのは確実なようだ。
どうしようかと迷ったが、ここまで来てただ帰るのも癪なので
少女は勇気を振り絞って木製ドアの真鍮ノブに手をかけた。
小気味の良いベルと共にドアが動き、店内の全容が少女の視界に開ける。
天井から吊られた小型シャンデリアが照らす穏やかな光源の下、
クリスタルグラスや細工時計、香水瓶や手織りのケープ、
西洋人形や絵画等が多端にしかし機能性充分に並べられていた。
(わぁ……)
アンティークにそれほど詳しいわけではないが、
上質な大人の雰囲気とどこか郷愁を誘う店の雰囲気に
少女はしばし呆然となる。
そこ、に。
「いらっしゃいませ」
店主らしき若い男が、奥のカウンターに足を組んで座り
微笑を浮かべてこちらをみていた。
「あ、あの、開いてますか?」
「えぇ、ゆっくりしていって」
若干物怖じしながら問う少女に、男は気品のある笑顔で頷いた。
ショッピングモールの中にある仮店舗位の広さ。
美しい刺繍のクロスがかけられた中央のテーブルに無数の調度品が置かれ、
そこを取り囲むように種類別に分けられたアンティークが壁や陳列棚に飾られている。
キレイな小物は大好きなので、何か気に入った物があったら買っていこうと
感興に浸る少女の背後で再び男の声がした。
「それにしても、よくこの 「場所」 が解ったね?
自分で言うのもなんだが、非常に解り難い所にあるのに」
「学校の帰り道に、偶然みつけちゃったんですよ。
子供の頃からずっとこの街に住んでるけど
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