暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Where there’s smoke, there’s fire.
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いたぶったろ。な?」
ヒスイの説得に、隊員達は不服ながらに渋々ながらも引き下がった。
実際彼らも蓋を開ければただの一般プレイヤー。しかもドラグーン隊所属の者達とは違い、それほど古参でもない。発言力と地位だけで言えば執政部とは比べるまでもないし、まして彼らに対して抗議したいのであって口喧嘩をしたい訳ではない。双方、頭を冷やす時間は必要なのだ。
押し黙る隊員達に「堪忍や」と手刀を切るヒスイはそこで、そういえば、と言う。
「祭りのほうはどうなったんや?戦場になった正門のほうは?」
「もーメチャクチャでしたよー。屋台が吹っ飛んで食べ物散乱してたし……ま、掃除するより放っといて耐久度切れ待つほうが楽だってんで、今もですけどー」
「あと、さっそく主戦派の声が高まってるんよ。これはウチに対するサラマンダーの宣戦布告だーって」
分かっていたはものの、ヒスイはこめかみに痛みを感じて指を添えた。
どこの領でもそうだが、主戦派モドキの過激派は存在する。それはこの
ALO
(
ゲーム
)
がPK推奨で領vs領の戦争がシステム上存在している以上、仕方のないことだ。
普段なら可愛げさえあるそれは、今ただでさえ不安定になっている領間バランスの上では致命傷になりかねない。
舌打ちしそうになる心を押さえつけ、ヒスイは視線を視界の端に常時表示されているデジタルクロックに向けた。
午前一時。
本格的な夜型プレイヤー達の聖地だが、全体としてのログイン数は徐々に減少していく時間帯。とりあえず声高に叫ぶ馬鹿が感染する危険性は、心持ち薄まったと言っていいだろう。楽観視とも言われかねない安堵にほぅ、と吐息を吐き出し、ヒスイはこちらを見つめる数十の目線に向き直った。
「とりあえず、今日はもう遅いから落ちぃや。なんか動きあったらメールするさかい」
解散の合図に手を数度打ち鳴らすと、隊員達は互いの顔を窺った。バラバラの返事が上がり、三々五々隊員達は散らばっていく。
その場でログアウトする者、ホームか宿屋に向かって歩き出す者、あるいは――――
群衆の中に紛れる隊員の一人が呟いた一言を、ヒスイは持ち前の大きな耳で聞き逃さなかった。
「――――ねぇ、隊長は?」
「ッ」
―――あぁ。
聞き逃さなかったからこそ、聞いてしまったからこそ、ヒスイは降るような星空を仰ぐ。
もうその場には誰もいない。何か言ったとしても雑踏の前に掻き消えるだろう。
だからこそ、彼女は他の誰にも言えない、当の本人にさえ言えない本音を呟いた。
弱音と言われても逃げ腰だと言われても、丸投げだろうとも構わない。
ただ、一人の女性は心の内を静かにブチまける。
その、寸前。
ルルル、という電話の呼び出し音にも似た
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