第十章 仮想世界
第8-1話 士道と佐天
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いので逃げることしかしていない。そんな士道がそんな事を言うのは流石にダメだろう。
佐天が目を瞑り、手に意識を集中させる。すると周りの木々が徐々に揺れ出して行き、見えない何かが佐天の右手に集まっていった。
そして。
佐天「絶風波!!」
そう叫ぶと右手から竜巻のようなものが化け物に向かって一直線に向かっていく。その勢いは周りの騎士たちを吹き飛ばしそうになるほど。
化け物も直接食らったのか初めてダメージを与えられた気がする。元にあの巨体を力で吹き飛ばしたからだ。
しかし飛ばしたと言っても数十メートル身体を引きずっただけ。あの巨大で固い表面の皮膚を傷つけるのにまでは至らなかった。
佐天「あぁもう!!」
龍のような化け物はその攻撃を食らって佐天の方を見た。
標的を変更したと言わんばかりに佐天を凝視しながら口から炎の塊を作り出す。
士道「ッ!?佐天さん!!」
思わず士道は走り出していた。その炎の塊は佐天にめがけて物凄い勢いで向かっていく。
士道「クソッ!!間に合えぇぇぇ!!!」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
風というものは応用が難しいように思うが実際はそうでもない。
風を操作すれば砂利やその辺に落ちているものを武器に出来るし、『噴射点』を作れば加速だって出来るし頑張れば空さえも飛べる。
あの炎の塊は風を使えば勢いは増すかもしれない。
だが、先ほど説明した『噴射点』を利用すればその炎の塊をバレーボールのように跳ね返すことも出来る。
簡単に言えば一方通行の反射のようなものだ。
佐天は手を前にかざして自分の身体より大きな『噴射点』を作る。他人から見れば何も無いように見えるが、佐天の手の前には確実に変化が起きている。
そう、このまま炎の塊がこちらに来れば『噴射点』に当たり、そのままバレーボールのように跳ね返って化け物の身体に一直線にーーー
と。
士道「間に合えぇぇぇ!!!」
自分の背後から雄叫びのような大声が聞こえた。
顔だけ後ろを向かせて見ると、士道が物凄い形相でこちらに駆け寄ってくるのが見て取れた。
佐天「(えっ……!?)」
佐天は困惑した。まさか、自分を助けようとしているのではないか?と。
一方通行の反射が自分の身体を膜のように覆っているのと同じように、佐天の『噴射点』も、一方通行の反射とは″厚さ″は違うが手に触れるような形で作られている。
つまり、このまま士道が自分の前に来てしまえば士道は炎の塊を食らい、『噴射点』は意味を無くす。無駄な犠牲を強いてしまう。
佐天「士道さん!私は大丈夫です!!このまま炎の塊を跳ね返す準備は整ーー」
士
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