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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第543話】
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と未来は瞳を丸くさせた。


「そ、それよりもさ! 早く食べちまおうぜ! ほらヒルト、俺のも食えよ」


 理央もそう言って俺にご飯を食べさせる、まるでガチョウになった気分だ。


「りおりおずるいー。 ひーくん〜、私も食べさせてあげるー」


 本音も発奮したらしく、一口掬って口許に――。


「あ、じゃあ私も私もー」


 便乗するように美春まで俺に食べさせようとしてきた――更に簪も。


「ここは私もそれに便乗するのが最善の手、だから私もヒルトに一口食べさせるけど――」

「こほん! ……ならば私も有坂――否、ひ、ヒルト……に食べさせるとしよう。 うむ」


 軽く咳払いする篠ノ之、何気に下の名前で呼ばれたが――。


「有坂君、モテモテだねー」

「今なら織斑君を狙うチャンス……?」

「あ、でもでも……最近織斑君よりもヒルト君の方がかっこよくなってきたなーって思うな」


 そんな会話が聞こえてくる……ガヤガヤと賑やかな食堂、先日の事件が嘘の様に感じる平穏さ、そして……口許には無数の掬われた食べ物類。

 ある意味女難なのだろうか――そんなことを思う昼休みだった。

 そして放課後、授業も終わって生徒も疎らになった教室。

 エレン・エメラルドを待っていると小走りで彼女は走ってきた。


「すまない、待たせてしまったか?」

「いや、全然待ってないさ。 これがな」

「……うむ、では行くとしよう」

「んと……何処に行くんだ?」

「そういえば言ってなかったな。 ……灯台へ行こう、そこでならゆっくり話も出来る」


 促され、俺達二人は教室を後にし、一路灯台へと向かう。

 潮の香りが鼻孔を擽り、カモメの鳴き声が小さくこだまする。

 灯台の下、俺は地面に腰掛けると彼女――エレン・エメラルドもその隣に腰掛けた。

 互いに言葉を交わす事なく、暫く夕日を眺めていると――。


「……君のおかげだ、今私がこうしていられるのも」

「え? ……俺は特に何もしてないはずだが」


 首を傾げてそう告げると、風に靡くエメラルドグリーンの髪をかきあげながら小さく笑みを浮かべる。


「いや、今こうして君の隣にいられるのも――私を縛っていた鎖から解き放ってくれたのも君だ。 ……君とあの場で刃を交えていなければ、私は今こうしてこの場にいることもなければ軍から命令を受けて汚い仕事をしていただろう」


 そう話すエレンの表情に陰りが見える――それを悟られないようにする為か僅かに顔を逸らしたエレン。


「……ともかく、私は君のおかげで運命が変わったともいえる。 ……私にとっては君は恩人だ、可能な限り君に協力した
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