第二十四話 嵐の到来
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下さいと。」
「お、おう・・・・。」
長門は思わずたじたじとなった。
「けれど今は非常事態なのよ。敵に決定的な打撃を与えるには、あなたたちの力が必要なの。沖ノ島海域であなたたちを投入しなかったのは悪かったけれど、その分あなたの北上さんの力をみんなに知らしめるチャンスだと思うわ。」
陸奥が優しく言った。
「そう、そうですよね!!!」
大井の顔がとたんにはじけた。
「聞いた!?北上さん!私たち・・・いいえ、北上さんの実力を皆に知らしめるチャンス到来よ!!」
「え〜〜〜いいよ、そんなの。」
北上が少し嫌そうなそぶりをしたが、大井は聞かない。
「駄・目!!!日頃ただの軽巡と私たちの区別もつかないアホどもに北上さんの華麗な姿を知ってもらうチャンスだもの。陸奥先輩、長門先輩、それで私たちはどうすればいいんですか?」
「敵の戦艦が4隻スクラムを組んで抵抗をやめないのだ。お前たちは砲撃をかいくぐって接近し、砲雷撃戦でうまく敵艦の戦列を乱してくれ。方法は任せる。」
「わかりました!」
「もう。大井っちはすぐ勝手に決めちゃうんだから。しょうがないなぁ・・・・。」
北上はふうっと息を吐き出したが、顔を上げた時には表情は一変していた。
「行くよ、大井っち!」
「北上さん!」
二人は手をつながんばかりにして猛速度で敵艦隊に突っ込んだ。次々と放たれる砲撃を見事にかいくぐった二人は手足の魚雷発射管を敵戦艦に向けた。
「散布角は5度くらいでいいかな。」
「鈍足なクソ戦艦なんかそれで十分です。間抜けにもドデッパラをよこにさらしてるんですもの。」
「もう、大井っちは言葉が悪いよ〜。んじゃ、いこっか。」
二人は発射管を向けた。
「大井っち!」
「北上さん!」
『発射!!』
二人が放った酸素魚雷は正確に敵戦艦に向けて海面下を進み、逃げ出そうとした敵戦艦を次々と襲った。
大音響と共に噴き上がる水柱が敵を覆い包む。
それがおさまった時、敵戦艦4隻の姿は消えていた。戦列を乱すどころか、敵そのものを撃破し去った鮮やかな戦いぶりには長門も陸奥もしばし目を見張っていた。
「流石は重雷装艦だ。予想以上だったな。」
長門がハイタッチする二人を眺めながらつぶやいた。
「前世では威力を発揮できなかったが、ここでは思う存分戦果を発揮することができる。」
重雷装艦の放つ雷撃の威力は軽巡や駆逐艦の比ではなく、その攻撃力は戦艦の主砲以上とも言われているが、艦娘の中にはあまりおらず、それだけに北上と大井の二人は温存されてこれまであまり戦局に投入されてこなかった。だが、長門はそれを間違いであると感じ始めていた。
「二人には悪いことをしてしまったな。これからは二人にも積極的に出撃してもらうことにしよう。どうだ、陸奥?」
「あなたの思うままに。私も賛成だけれど
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