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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十四話 嵐の到来
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とを考えている余裕も暇もないわ。特に今は。あなたはあなたにしかできないことを今はやりなさい。」
一瞬下を向いた矢矧はこぶしをブルブルッとふるわせた後、きっと顔を上げた。
「・・・・・・野分、磯風。」
呼ばれた二人は矢矧に向き直った。
「全速力で湾内に突入。内部の敵艦隊を徹底的に排除、榛名先輩の仇を取るわよ。」
『はい!!』
3人はすぐに水面をけり、湾内に全速力で戻っていった。
「榛名・・・・。」
金剛は先ほどとは一転、不安顔をして妹をしっかりと抱きかかえた。
「金剛お姉様・・・・榛名は・・・・大丈夫ですから。」
気丈にも微笑んで見せた榛名だが誰の眼にもその傷は小さくないとわかっていた。
「金剛さん。」
加賀の声に金剛は顔を上げた。
「榛名さんをエリア3の緊急退避ドックに曳航しましょう。」
「でも、ここの守りが!!」
「私たちが行きます!」
酒匂が進み出た。
「夕立も行くっぽい!」
「で、デスけど、それじゃ外の守りが――。」
「大丈夫。ほら、援軍がきたわ。」
加賀の言葉に金剛が顔を上げると、一隊の艦娘たちが全速力でこちらに走ってくる。
「酒匂さんと夕立さんは榛名さんを護衛してエリア3に。その間私と金剛さんは敵艦隊をけん制してこれを支えます。」
その時、いったん金剛たちの奮戦で遠ざかっていた敵艦隊がまた接近して砲撃を打ち込んできた。
「急いで。」
金剛の手から榛名を抱き取った酒匂と夕立は二人してうなずき合うと、全速力でその場を離れた。
「姉様ぁっ!!!」
別の妹の声が金剛たちの耳に届いた。比叡を中心とする第二陣だった。
「比叡っ!!」
金剛のもとに到着した比叡は息を切らしていた。
「ね、姉様、榛名が、今――。」
誰よりも金剛を慕っている比叡だが流石に今は自分の妹が怪我をしたことに動揺している。
「今は状況を説明している時間はないデ〜ス。」
金剛自身も心の中は嵐の海のように沸き立っていたが、それを懸命に押し殺した。
「比叡、敵艦隊が来ます。私と協力して押し返しますヨ。」
「はい!皆さん!」
白露、村雨、浦風、阿賀野、山城、扶桑、飛龍、瑞鳳らが一斉にうなずいた。金剛、比叡、白露、阿賀野が白波を蹴立てて敵艦隊に向かっていく。
「待てよ!どうして戦艦が勝手に戦い方を決めちまうんだ!!」
不意に一人の艦娘が怒声をあげた。麻耶だった。
「ここまであたしも成り行きで来ちまったけれど、アンタはあたしの旗艦でもなんでもないんだ。命令に従う義理はないね。」
「だったらあなた一人で戦うつもり?」
加賀がジロと麻耶を見た。
「んなこと言ってねえよ!いいよ、あたしは阿賀野や村雨たちを連れて――。」
「麻耶先輩!」
阿賀野が怒ったような声で遮った。
「あんだよ?」
「どうして私が麻耶先輩の指示に従わな
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