第二十四話 嵐の到来
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んが最も経験豊かです。古鷹さんこそ――。」
「いいえ、紀伊さんです。」
「でも――。」
「このところの対立の話なら私は無関係ですよ。それに私は南西諸島の戦いの時からずっと紀伊さんのことを知ってます。だからこそ言うんです。早く!時間がないです!」
「わかりました!」
迷っている暇はなかった。紀伊はうなずいた。
「各員、発着台に乗ってください!」
6人は一斉に発着台に乗った。たちまち艤装が6人に取り付けられ、出撃準備は整った。
「皆さん。」
紀伊は5人を順繰りに見た。
「一歩ここを出れば外は激戦地かもしれません。気を引き締めて、頑張っていきましょう。なんとしても横須賀を守り抜きます!」
『はい!』
ブザーが鳴り響き、ゲートが重い音を立てて開き始めた。
「古鷹さんは吹雪さん、陽炎さん、清霜さんを伴っての近接戦闘の指揮を執ってください。」
「わかりました。」
「讃岐、あなたと私は外に出次第艦載機を発艦!次いで砲撃戦闘の準備をするわよ。」
「はい。」
讃岐はしっかりとうなずいた。案外落ち着いている様子に紀伊は一瞬おやっと思い、ついで頼もしく思った。妹も戦いの中で成長してきているのかもしれない。姉としてそれが嬉しかった。
6人の足元に海水が満ちた。
「紀伊型空母戦艦紀伊、出撃します!」
紀伊が叫んだ。足元に水煙が立ち上ったかと思うと、紀伊は勢いよく水面をけって滑り出た。他の5人も次々と後に続く。
「うっ!」
一歩外に出た瞬間紀伊は腕で顔を庇った。ものすごい熱風と煙が吹き付けてきたからだ。
炎と煙は海上にまで達していた。どうやら近くの燃料タンクが爆発して中身の燃料が海上に流れ出し、そこに引火しているらしい。一瞬ちらっと振り向いた陸地は既に炎と煙で充満していた。あたりは強い風が吹き荒れていた。風に流され煙が海上に向かってきている。その下には波が泡を吹き上げて沸き立っている。
海上に目を転じれば、巨大な防波堤が横須賀鎮守府全体を半円に取り巻いて外海と遮断していた。この防波堤は横須賀鎮守府と約3キロ隔てた沖合に設置され、ぐるっと半円を描いて鎮守府をU字型に護るように建設されていた。この防波堤は特殊コンクリートで固められ、さらに鋼材をもって装甲されている。さらに要所には防空監視所や対空砲台、沿岸防御砲などが配備されている。だが、あちこちに穴が開いている。敵の砲撃かそれとも爆弾が命中したのか。
その中をかいくぐって敵が侵入してくるのが見えた。
同時刻、防波堤の外、外洋――。
金剛を筆頭とする臨時艦隊は敵の第一陣と交戦し、多大な被害を与えつつ、これをを外洋に追い落としつつあった。
「Shi〜〜〜〜t!!」
何気なく横須賀鎮守府の方角を振り返った金剛が両手を頬に当てて叫んだ。
「マズいデ〜ス!!外洋に
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