月夜の出会い
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に謎の病気で倒れた生徒がいた。その病気は不思議なものでこれといった症状はないが眠り続けるというものだった。そしてその生徒は1年以上眠り続けたという。そしてある時突然目覚めたのだ。点滴により栄養的な問題はなく何故かあまり筋肉も落ちていなかった。
特に異常は無かったが父親の提案で療養とリハビリを兼ねて空気の澄んだ田舎に一時的に移住しようということになった。1年以上眠っていたとなると当然その生徒は高校を退学になっており今すぐ何かをすることもできないので父親に従った。
それが冬宮叶夢という少年である。
「はあ…」
月を見上げながらため息をつく。未だにいまいち実感がわかないのだ。
「月が綺麗ですなぁ…」
と、軽く現実逃避していると
「そうねぇ。綺麗な月ねぇ」
突然後ろから女性の声がした。
「えっ」
慌てて振り向くとそこにはあまり見たことがない格好をした女性がいた。全体的に白と紫で彩られておりアクセントに赤いリボンがつけられている。そして夜なのに傘を持っていた。
本人も日本人とは思えない金髪。そして柔和でどこか妖しげな笑み。決してこのような田舎にいるような人物ではないはずだ。
「こんばんは。いい夜ね」
「あ、こんばんは」
反射的に挨拶を返すも内心戸惑っていた。先程まで自分ひとりのはずだったのにいつの間に。音も気配もなかった。
「ええと、ご近所の方ですか?俺はちょっと前にここに越してきたものでして…」
「ええ、知ってるわ。冬宮叶夢、よね」
背筋に軽く怖気が走る。なんだ、この人は。何故自分の名前を知っているんだ。
「ああ、怖がらないでちょうだい。別に取って食おうなんて考えてないわ」
そんなこと心配してなかったけど心配すべきかもしれない。直感だがこの人は何か違う。人の形をとった何かのように思える。
「それじゃあもう夜も遅いし俺は帰ります、それでは」
そして叶夢がとったのは逃げの手。しかし
「あら、連れないわね。もう少しお話していきましょうよ」
「……え?」
目の前にその女性がいた。おかしい、この人からさっき離れようとしたはずなのに。何故、目の前に。
「お話、しましょう?」
身長がさほど変わらないので少し身をかがめて上目遣いでそう言ってくる。
「…わかりました」
逆らえないと本能と頭で悟り諦め話すことにした。
「そう、ありがと♪」
そうすると女性は気を良くしたように笑った。
女性の名前は八雲紫というらしい。
れっきとした日本生まれらしく何故金髪なのかと聞いたら「金髪の日本人もいるわよ」とのこと。お互いの自己紹介で少し安心感を得た。
そこから話したのは普通の世間話だった。何故ここに来たのかとかこの田舎についてとか。普通に会話をしたことである程度この人に対する恐怖や警戒心は薄れていた。
「それじゃあ叶夢、
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