ターン56 鉄砲水と幻魔の皇者
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「そのまさかさ。トラップ発動、極星宝レーヴァテイン!このカードは戦闘でモンスターを破壊したモンスターに対してのみ発動でき、一切のチェーンを許さずに対象となったモンスターを破壊する!そう……れっ、と!」
まっすぐに投げつけた剣は何の抵抗もなくラビエルの心臓を貫き、やがて陽炎のようにラビエルの巨体が砂漠の空に消えていく。
「く……!」
「そして、これをラストターンにしてみせる!僕のターン、ドロー!」
もはやお互いのフィールドにカードはなく、僕の手札にもさっきサーチした永続トラップ、グレイドル・パラサイトしかない。このドローカードで通常召喚可能なモンスターが引ければ僕の勝ち、もし引けなければ残りのライフから考えてもまず間違いなくラビエルの勝ち。
ここまで来た以上、小難しい戦略は必要ない。原点に立ち返っての1発ドロー勝負、いいじゃない。皆が、ラビエルが、そして僕自身がじっと見つめる中、ゆっくりと今引いたカードを表側にしていく。
「ありがとう。いつも僕を、助けてくれて。僕は今引いたカード、霧の王を自身の効果によりリリースなしで妥協召喚!」
フィールドの中心に空の果てから落ちてきた青い光が走り、その光の中からゆっくりと僕がどんなカードよりも信頼する最強の魔法剣士がその一歩を踏み出す。
霧の王 攻0
「モンスターを……引いたか……」
「ああ。墓地からスキル・サクセサーの効果発動、このカードをゲームから除外して霧の王の攻撃力を800ポイントアップさせるよ」
霧の王 攻0→800
そう、これこそがとにかく通常召喚できるモンスターさえ引ければよかった理由。ラビエルのライフが800を下回った時点で、たとえ僕がどんな攻撃力のモンスターを引いたとしてもこの結果は変わらなかった。
もしも、ラビエルが自身のライフを気にして火炎地獄を温存していたら?もしも、ウラヌスの召喚時にラビエルが永続トラップを宣言していたら?もしも、クリッターでD.D.クロウ以外のカードをサーチしていたら?どれか1つでもここまでの流れに狂いが生じていたら、あるいはこのデュエル、もっとほかの結末を迎えていたのかもしれない。もっとも、それこそ考えたって詮無いことではあるが。
「そう、か……私が負ける、か」
そう言って両腕を広げ、霧の王の一撃を黙って受け入れるようなポーズをとるラビエル。このデュエルが終わることに一抹の寂しさを覚え、そんなことを感じる自分自身にやや驚きながらも、霧の王に最後の宣告をかける。
「バトル。霧の王でダイレクトアタック……ミスト・ストラングル」
最後の一撃は高揚するでも感慨に浸るでもなく、ただただ静かだった。そんなもの、なんだろうか。
霧の王 攻800→ラビエル(直
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