ターン56 鉄砲水と幻魔の皇者
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「ラビエル……勝負の前に、ひとつ聞かせてもらおーか」
「ほう?」
「マルタンに憑いてるのが誰かは知らないけど、わざわざ荒事担当に三幻魔を復活させるなんて、なんでそんなに手のかかることをする必要があったのさ?いや、それだけじゃないか。プロフェッサー・コブラといいゾンビ軍団といい校舎にけしかけたウラヌスといい、マルタン自身はお膳立てばっかりで全然動こうとしてこない。強大な力を持つ精霊なのはわかるのに、だったらなんでそのご主人様は自分から動かないのさ」
これは、実はずっと気にかかってきた疑問でもある。大量の精霊を使役するその力に加えてアカデミアごと次元移動指せるだけの実力を持っていながら、なぜかマルタンは……いや、あのオレンジ色の人影は決して僕らに直接攻撃してこない。十代に会いたい会いたいというのなら、それこそピンポイントで神隠しにでも合わせる方がよっぽど簡単なはずだ。なのに、それをしてこない。一から十まですることなすこと全てが回りくどいのだ。
過去1度だけとはいえ、ラビエルと直接対峙した僕にはわかる。奴は嘘をつくようなタイプじゃない……少なくとも、この疑問に対する答えを持っているならば、それを誤魔化したりするような真似はしないはずだ。
「ククク……そうか、お前らは何も知らぬのか」
「だから聞いてるんだっての」
「まあよかろう。他ならぬ遊野清明、お前の頼みだ。我々の勝負の最中そんなくだらぬことに思考を裂いて興が冷めることがないよう、憂いは先に断っておいてやろう。とはいえ私も認めたくはないが、奴の力により封印を解かれた身……全てを口にすることはできないが、ヒントぐらいは与えておこう。奴は確かに強い、だが同時に、奴は誰よりも弱い。奴の最大の強みはその弱さにこそあり、それゆえもし私が奴と会いまみえることがあれば、奴に対し私は特に敗北するだろう」
「……そんなポエム聞きたくて聞いてんじゃないんだけどね。さっぱりわかんないんだけど」
もっとこれこれこんな訳で〜、とか説明してくれないと、僕の脳味噌じゃついていけない。ただ、『私は奴に特に敗北する』という部分が妙に引っかかった。日本語としてはむちゃくちゃだけど、言いたいことはわからんでもない。要するに、極端に相性が悪いってこと?確かラビエルの効果は、元からの高打点に加えさらに自軍モンスターの魂を文字通り生贄としてさらにその火力を増大させる力押しスタイルだったはずだ。それがとくに相性が悪い……どういうことだろう。
「もうよかろう。これ以上私は口を割らぬ、もはや言葉は蛇足でしかない」
「そうね、僕もあの時の引き分けには納得いってないし、リターンマッチと洒落込ませてもらおうか……」
「「デュエル!」」
しかし、まさかこうしてラビエルと再びデュエルするだけでも驚きだなんてもんじゃ
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