二十話:食べログ
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しまう。
「たく、これなら連れてこないほうが良かったかしら?」
「そうすると、私とお姉様が二人きりのランデブー……困ります」
「やっぱり二人よりも三人の方がいいわよね」
『すごい変わり身を見た』
妄想世界へトリップを始めたブリュンヒルデに手段を択ばないジャンヌ・オルタ。
そんな学生らしいようで、らしからぬ下らない会話はあるものの登場で終わりを告げる。
【激辛麻婆ラーメン3つお待ちどうさまアル】
三人の前に置かれるラーメン。否、麻婆豆腐。
グツグツと煮え立ち地獄の窯の中を連想させる禍々しさ。
どこまで見ても赤一色で豆腐ですら赤く染まっている。
丁寧に調理されたのは一目で分かるが、心が理解できなかった。
ラーメンという文字が消え去った激辛麻婆の威容を。
「……なによ…これ」
「麻婆豆腐ですね……」
「ラーメンはどこよ……」
『下に沈んでいるのが少し。本体が麻婆豆腐だね、うん』
店長に文句を言う気すら起きない、いっそ清々しいまでの麻婆。
これからこの赤い物体を食べるのかと思うと心が欠けそうになる。
しかし、ブログのために逃げるわけにはいかずそっと蓮華を手に取る。
『俺が先に行こう。なに、すぐに戻ってくるさ』
「あんた……死ぬ気?」
「いけません、その先は地獄です!」
『我に七難八苦を与えたまえ!』
まずは自分が毒見となって麻婆を口に運ぶぐだ男。
二人が制止しようと手を伸ばすが既に彼の口の中に麻婆は消えていた。
『ギャァアアアッ!!』
「悲鳴!? 普通料理の感想って辛いとか不味いとかよね!?」
「辛みは痛覚の錯覚ですが……まさかこれほどまでに人体にダメージを与えられるとは。お父様ですら、こんなものは作れない…!」
舌に乗った瞬間に全身が棘で串刺しにされたような痛みがぐだ男を襲う。
何とか飲み込むが、麻婆は溶岩のように胃にへばりつき体内を焼き焦がす。
だが、ここの麻婆はただ辛いだけではない。
飲み込んだ後に胃に溜まる確かな充実感と痛みの後に残る旨味。
死ぬほどの激痛に耐えなければならないがこの麻婆豆腐は―――
『悔しい…でも、美味しく感じちゃう…!』
「……は?」
『一口で意識が飛びそうになるけど……味自体は美味しい』
全身から奇妙な汗をかきながら水を飲み干すぐだ男だが、確かにその顔には充足感があった。
「ほ、本当かしら? で、でもブログのためには食べないことには……くっ!」
「お姉様……わ、私が代わりに食べましょうか?」
「冗談じゃないわよ! このぐらい食べてみせるわよ!!」
「待ってください、私も一緒に逝きます…!」
ブリュンヒルデが代わりに食べることを進言するが逆にそれが彼女の
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