二十話:食べログ
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「食べログって知ってる? 最近はまってるのよ。おごり高ぶった有名店をボロクソに評価をして地獄にたたき落とす最高の趣味なんだけど、あんたも付き合いなさい」
『いいよ。それでどこに行くの?』
「そうね、初めは―――」
終業式の日にジャンヌ・オルタの食べログに付き合うことを決めたぐだ男。
満足気に笑うジャンヌ・オルタの横顔に微笑んでいた彼は知らなかった。
これが新たなる戦いの幕開けだということを……。
「ここが激辛ラーメン店ね。ふふふ、どうせ激辛とか言って味はいい加減なんでしょうね」
「お姉様が居ればどんな料理も甘く感じられるので問題ありませんね」
『怖いもの見たさで痛い目に合わないように』
暖簾をくぐりこの夏一軒目の店に入る。
漂う匂いはどれも鼻腔をくすぐるばかりで激辛の兆しは未だに感じられない。
しかし、三人は知らなかった。
真の辛さとは口に運ぶその瞬間まで一滴たりとも逃がさないのだと。
「さて、メニューは……ってなによ、これ?」
『全部麻婆がついてるね』
「はぁ? ふざけてるのかしら。まあ、いいわ。どうせ、食べるものは決めてきてたんだし」
「すいません。この激辛麻婆ラーメンというのを3つほどお願いします」
テーブル席に座り三人で同じラーメンを頼む。
店主である年齢不詳の女性は非常に良い笑顔で注文を受けると厨房に向かっていった。
「それにしても、古臭い店ね、ここ」
「趣深いということですね、お姉様」
『ワザと悪く言えるのは一種の才能だね』
「うるさいわね。私は素直な感想を言っているだけよ」
分かっています、といった優し気な笑みを二人に向けられ頬を赤らめながら睨み付けるジャンヌ・オルタ。
しかし、二人にとっては可愛いだけでありブリュンヒルデに至っては鼻血を流している。
『はい、ティッシュ』
「ありがとうございます」
「……こうして見るとあんたが普通に見えるから頭が痛いわ」
ぐだ男から差し出されたティッシュを優雅な仕草で受け取るブリュンヒルデにポツリと零す。
ジャンヌ・オルタからすれば四六時中暴走しているブリュンヒルデであるが。
平常時ではまさに絵に描いた美少女のためにその異常性に気づくものは少ない。
「これはただ迸るお姉様とのインスピレーションが溢れ出ただけですのでご心配なさらず」
「寧ろ、別の意味で心配なんだけど。……はぁ、黙っていたら完璧な美少女なのにねえ」
『鏡ならここにあるけど?』
「うっさいわね! 焼き殺すわよ、あんた!」
黙っていたら完璧な美少女という言葉に鏡を差し出すぐだ男。
口が悪いジャンヌ・オルタもその部類に入るというブーメランだが当然不評を買いおしぼりを投げつけられて
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