暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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女性として愛してしまったのは・・・。




「―――なあ、ワルドよぉ」

 不意に、ランサーが話しかけてきた。壁に寄りかかり立ったままの彼はワルドに背を向けたまま話している。

「何だ。」

 気力もない返事をするワルド。どうせまたくだらない話題だろうと思っていた。しかし・・・

「テメエはどうしたい?」
「・・・は?」

 出してきた問いは全くの予想外で漠然としたものだった。

「どう、とは?」
「すっとぼけんじゃねぇぞ。テメエにとって一番に大事なモンは何だって聞いてんだよ。任務か?『聖地』とやらか?それともあのオッサン(クロムウェル)か?小娘(ルイズ)か?はたまた自分(テメエ)自身か?」
「私は・・・」

 ワルドはすぐに答えることが出来なかった。今の彼の心情ならルイズだと答えたい。が、彼にとって『聖地』を奪還することは長年の悲願であり、そしてそのためにもレコンキスタという組織は必要な存在だった。

 使命か、恋人か。その二つが彼の中でせめぎ合っていた。


「―――なぁ、ワルドよぉ。」

 黙っていると、再びランサーが尋ねてきた。

「・・・何だ。」
「俺のステータス、テメエは見えてんだよな。」

 またしても突拍子もない話。一応返事はしておく。

「見えるが、それがどうかしたのか?」
「俺のスキル、何か気になるモンはねぇか?」

 言われて小首をかしげながらも彼のスキルを確認する。
 ランサーの固有スキルは全部で三つある。

『戦闘続行』
 戦いで真価を発揮するスキル。これは今は関係ないだろう。

 『嘲罵』
 これには散々苦労をかけられたが、これも今は問題ではない。
 彼が言っているのは、恐らく三つ目のスキルだろう。

 
『流浪組』
 
かつて主君の下を離れ、他国へ亡命したことにより付けられたある意味裏切りともいえる行為から付けられたスキル。

「俺は元々はぐれものよ。オメエがどんな道を進もうが慣れっこだぜ。」

 その言葉は暗にこう意味していた。

“必要ならクロムウェルとは手を切れ。その時は俺はお前について行くだけだ。”

 ワルドは目を見開いてランサーを見つめた。
意外だった。普段嫌味しか出ない彼の口からまさかそんな言葉が出てこようとは。先の質問もワルドの複雑に絡み合う心情を察し、最も彼の中で優先すべきことは何かと問うてきたのだろう。

「私は・・・」

 ワルドが答えを出そうとしたその時だった。

 
 コンコン

 窓から音がしたため見てみると、そこには一羽の鳩が。脚に付いている紙からどうやら伝書鳩のようだった。
 ワルドはすぐさま手紙を読んだ。そして

「・・・いくぞランサー。」

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