暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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るようだ。
「魅了の魔法とやらが、あそこまで強力だとはな・・・。」
対魔力スキルがあるから効かないだろうと高を括っていたが、全くの想定外だった。
動悸が収まるまで、暫くこうしていよう、と壁にもたれたまま夜風に当たる架であった。
「(それにしても、随分と可愛らしかったな・・・)」
それが果たして本当に魔法によるものなのか。
はてさて真実は一体誰が知ることやら。
『魅惑の妖精亭』での一悶着があった翌朝、とあるホテルの一室でワルドは物思いに耽っていた。ベッドに腰掛け漠然と壁を見つめているその目にはどことなく憂いが感じられた。
「ワルド。」
そう言って突然姿を現したのはランサー。そこで暫く動くことがなかった彼の目がようやく彼の方へと向いた。
「ランサー、彼女らはどうした?」
「あいつらならさっき店を出て行ったぜ。どうも王城の方に向かったみたいだが、どうするまだ追うか?」
「・・・いや、行先が分かったのなら良い。警備が固い王城だ、万が一見つかったら不味い。」
「そうかい。」
事務的な会話の後、またしても沈黙が空間を支配する。ワルドはまた虚空を見つめ、ランサーもまた不必要に口を開いたりしない。というか、彼と契約している以上、ワルドが何を思っているのか何となく察しがついている。
昨夜の出来事、チュレンヌが引き起こした騒動を二人は遠巻きに除いていた。酌をしにルイズがチュレンヌに近寄った時には焦りもしたし、もし彼女に危険があろうものなら即割って入る準備もしていた。
が、結果は杞憂に終わった。ルイズはその小さい体で果敢にも挑み、見事あの傲慢な男を平伏して見せた。
少し前、まだ彼女が幼い頃を思い出す。あの時は姉に馬鹿にされる度に一人拗ねて泣いていた。それが今やあの頃とは段違いである。
そう、見違えるほどに成長した。そしてそうさせたのは・・・
「(きっと、彼なのだろうな・・・)」
今、彼女の傍らにいるのは元婚約者の自分などではない。使い魔の彼なのだ。
少し前までは彼女は自分の物になる。そうなることが当たり前だと思っていた。それがなくなった現在、彼の胸の内にあるのはかつて味わったことないほど敗北感、喪失感、そして虚脱感だった。
一時期はレコンキスタでの任務で気を誤魔化してきた。だが昨夜、二人が仲睦まじく話している様子を見ると余計にその気持ちが強くなってしまった。
何故か、答えは簡単に辿り着いた。
「(そうか、私は本当に、彼女を―――)」
最初は彼女の力だった。彼女の持つあの力があれば、きっと自分の目的の助けになる。そう思っていた。
いつからだろうか。
彼女
(
ルイズ
)
を、一人の
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