暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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もう少し聞き耳を立ててみると、

「(や、やっぱり無理よこんなの!)」
「(何言ってるのここまで来て!せっかく貸してあげたんだから、さっさと彼を落としなさい!)」
「(オ、オトスって何よ!)」

 どうやら会話の主はルイズとジェシカのようだった。しかし内容がよく分からない。架が小首を傾げているとやがてドアがノックされ開いた。
 そこにいたのは―――

「ル、ルイズ!?」
「ああああああの、ここここれは」

 そこには件の『魅惑の妖精ビスチェ』を身に纏ったルイズだった。スカートの裾を押さえながら俯き、顔面は愚か全身が真っ赤になっている。
 さすがの架も開いた口が塞がらない。

「やっほー、カケル!」
「ジェシカ・・・。」

 続いてひょっこりとジェシカが現れる。架のリアクションに満足したのか、彼女は得意げに説明しだした。

「ルイズもせっかく頑張ったんだし、特別に今夜だけ貸してあげたのよ。ま、貰った額で言えば実質ルイズが優勝だったしね。」
それに、アタシには惚れてる男なんていないし。ともジェシカは思っていたが、流石にそれはルイズのためにも伏せておいた。

「べ、べべべべべ別に、ジェシカが着せてあげるって言うし、あああああアンタも今回は頑張ってくれたから、ごごご主人としてご褒美をあげようと・・・」
「だったらもっと近くで見せてあげなさい・・よっと!」
「きゃあ!?」

 と、ジェシカはルイズの背中を押して、架の前に立たせた。

「さあカケル、女がせっかくおめかししたんだ!何か感想は?」
「カ、カケル・・・」

 ジェシカの言葉に、緊張しながらもどこか期待するような表情で架の答えを待つルイズ。
 しかし・・・

「・・・・・あら?」
「?」

 いつまで待っても架から言葉が出てこない。それどころか、さっきから俯いていてこちらを見ようともしていなかった。

「カ、カケル、どうし――」

 とルイズが顔を覗き込もうとすると、今度は突然ガタリと立ち上がった。

「すまんルイズ、少しトイレに行ってくる。」
「へ?」
「え、ちょっと」

 二人の声を聞かず、走り並みのスピードの早歩きで架は部屋を出て行った。
 その予想外の行動にポカーンとなる二人。やがてジェシカがなんとか声を出した。

「トイレ、反対方向なんだけど・・・」





 勢いよく部屋を出た架は、そのまま店の裏口から外に出てようやく立ち止まった。

「ふう・・・」

 一息つき、店の壁にもたれかかる。目を閉じると、脳裏には先ほどのルイズの姿は蘇ってきた。

「驚いたな・・・」

 と徐につぶやいた。 胸に手をあてると、自分でも驚くほど動悸が激しくなっている。しかも顔もやや熱くなってい
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