暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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ぃぃ!!!!』

 どうやら咄嗟の模倣は彼の王の威厳までもコピーしてしまったらしい。チュレンヌは勿論、衛兵までもその役目を放棄して我先にと店の外に逃げて行った。

「・・・やり過ぎたか?」
「そ、そうね。こっちまで少し怖かったし・・・。」

 もうこれを使うのは止めよう、そう心に決めた架である。やはりあの態度はあの王が一番様になる。
「きゃ〜、カケルちゃ〜〜ん!!」
「ぐおっ!?」

 と、そこへスカロンが思いっきり架を抱きしめてきた。店の少女たちも危機が去ったのを見てわらわらと奥から顔を出してきた。

「ルイズちゃんすご〜い!」
「見たあの徴税官の情けない態度!」
「胸がスカッとしたわ!」
「あ、あの、ええと・・・」

 皆の称賛にルイズは戸惑いの表情を浮かべる。自分の正体が貴族であり、皆に嘘をついてしまっていたことがバレてしまったためである。

「安心なさい。アンタたちが貴族なんじゃないかって薄々分かってたわよ。」
「え、じゃ、じゃあなんで・・・?」
「この店は従業員の事情なんて一切関知し〜ません。だから私たちはな〜にも見たり聞いたりしてないわ。ね、皆?」
『は〜い!!』

 スカロンたちの態度にルイズは安堵の笑みを浮かべ、架も礼を込めて静かに頭を下げた。何となくだが、ヴァロナがスカロンの人柄を評価していることをルイズは少しだけ理解できた。



「ところでルイズちゃん、このお金はチップに加えるかしら?」

 場も落ち着いたところでスカロンが、チュレンヌたちが置いていった小袋の山を指さした。客が勝手に置いていったのだから本来はチップと見なしていいのだが、ルイズは直ぐに首を横に振った。

(自分の力で勝たなきゃ意味ないもの。)

 声には出さなかったが、その態度から察したスカロンは「そう。」とニッコリと微笑んだ。

「では皆、お待ちかねのチップレースの最終結果を発表するわよ〜!」
『は〜い!!』


 


 チップレースの結果は、ルイズは2位、1位はこの店の看板娘であるジェシカであった。
 ただ、1位と2位の差は殆どなく、ぶっちゃけ後半は二人のデッドヒートだったらしい。
 悔しそうににしているルイズに、架は頭を撫でながら健闘を祝すのであった。
 


さてその夜―――

「ああは言ってくれたが、正体がバレたからには出て行かなくてはな・・・」

 ベッドに寝転がりながら架は呟いた。まあ欲しい情報は大体手に入ったし、もう十分だろう。
ルイズは先ほどジェシカに呼び出されたようでここにはいない。戻ってきたら話を切り出してみようか、と思案していると―――

「―――――!」
「―――――」

「ん?」

 ドアの外から何やら話し声が聞こえる。
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