暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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ご指名よ!」
「は、はい!」

 スカロンに急かされ、ルイズは再び客席の方へと繰り出していった。




「いらっしゃいま・・・せ。」
「おう、やってんな。」

 言われた通りに窓側の席まで行くと、待っていたのは見知った・・・というか彼女がこんな目に遭っている原因の張本人であるヴァロナだった。

「あ、アンタねぇぇぇぇ・・・!」
「よせよせ、今日は客だぞ。」

 酒瓶で殴りたくなる衝動を何とか抑え込み乱暴に反対の席に座った。と、彼の頬がやや腫れていることに気が付いた。

「どうしたのそれ。」
「お前を指名した時にスカロンにな・・・」

 そういえばここに来る直前「アタシのことなんてどうでもいいのね〜〜!!」なんて悲鳴が聞こえた気がした。

「自分を乙女と称するならグーで殴るかね、普通。骨格が歪むかと思ったぞ。」
「アンタ何であの人と関わり持ってんのよ。」
「こういう商売している所為か、あれで結構この街で顔が利く。いざという時の貴重な情報源なんだよ。」
「ふ〜ん。」

 グラスにワインを注ぎながらルイズは気の抜けた返事をする。あの筋肉隆々の腕でグーパンチされている所を想像すると、目の前の被害者に怒る気力はすっかり萎えてしまった。
 一先ず形だけの乾杯をする。慣れない環境が続く中、親しい間柄の接客であるためか丁度良い息抜きであった。
 そして話題は当然チップレースのことになる。

「聞いたぞ。何でもチップレースとやらで盛り上がってるらしいじゃねぇか。」
「別に盛り上がってなんてないわよ。」

 謙遜しながらもその表情は誇らしげのルイズ。
 実はチップレースが始まってからというもの、ルイズの接客態度は激変した。
 客の前では微笑みを絶やさず、更にチップを渡された時には飛び切りの笑顔を客に魅せる。元々が可愛らしい顔の持ち主のルイズの天使のような笑顔を向けられれば、客もついつい魅了されてしまうのも無理はない。まだ緊張とぎこちなさは残っているが、それがまた初々しく、男心をくすぐられる。その笑顔を見に翌日もチップを渡しに店を訪れ、あるいは噂を聞きつけた別の人が来る。その繰り返しにより、今ではルイズはこの店のちょっとした話題の人物となっていた。
 その結果、ルイズのチップはトップを争うほどの成績になっているのである。
 そのチップレースも今日が最終日。今日の稼ぎで順位が決まるのであった。

「お前のことだからこんな勝負には興味がないと思ったが。」
「別に。ただ勝負と聞いて負けるのが嫌だっただけよ。」

 と、本心を隠しつつ(・・・・・・・)ワインを煽るルイズ。
 一方で賞品のことをこっそり聞いたヴァロナは、「ふ〜ん」と含みのある笑みを浮かべる。
 それを見咎めたルイズが「何よ―――
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