暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
三章 王女からの依頼
乙女の密かな戦い
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「チップレース?」
「そう!今日から一週間、お客様から貰ったチップの合計金額を競う恒例行事よ!」

 店の仕度をしていると、突然スカロンが皆を呼び止め発表しだした。恒例行事なのか、周りの娘たちは知っているらしく結構盛り上がっている。

「見事優勝した娘には豪華賞品!この我が家代々伝わる『魅惑の妖精ビスチェ』を一日着る権利を与えまーす!この人を虜にする魅了の魔法がかかったビスチェを着れば皆メロメロ!チップもザクザク!皆頑張って頂戴ね、トレビア〜ン!」
『きゃ〜〜〜素敵〜〜〜?』

「代々伝わるって、スカロンの家系は皆こんな商売をやっているのか・・・」

 盛り上がる空気の中、一人どうでもいいことにツッコむ架。
 一方で、

「(魅惑・・・メロメロ・・・)」

 ルイズは一人、何か決意を固めるように拳をグッと握った。




 そしてあれよあれよと時は流れ数日後―――




 トリスタニアの夜の街頭を二人の男が歩いている。どちらも背が高く、どことなく強者の風格を漂わせていた。

「あ〜あ、退屈だなぁおい。」

 二人の内紺色の髪をもつ男が欠伸交じりに呟いた。それを聞き逃さなかったのは隣にいる銀髪の男である。

「そう言うな、ランサー。これも立派な任務のうちだ。」
「任務ねぇ。」

 銀髪の男の名はワルド。そして、紺色の髪の男は彼の使い魔であるランサーのサーヴァントだ。
 元はトリステインの王宮に仕える貴族であったが、今はもうある使命のためレコンキスタに完全に寝返った。かつて虚無の担い手であるルイズをレコンキスタ側に引き込もうとし、空中都市アルビオンでセイバーと衝突。任務を失敗し一時は撤退した彼らだったが、再びルイズを手に入れんとこのトリステインに舞い戻ってきたのである。
 とはいえ、既に敵対する国に迂闊に足を踏み入れることは出来ない。髭は全て剃り、長く下ろしていた髪も後ろに編んで纏められている。こう見ると中々の好青年である。ランサーが「似合ってんな。」と茶化したように言うとギロリと睨まれた。

「あら、お兄さん。」

 と、酒場の前を通りかかると表に出ていた女性がランサーを見て声をかけた。

「今日はお店に寄ってかないの?」
「あ〜悪ぃな。今日はちと仕事でな。」
「そぉ?残念。けどまた来てよね!」
「お〜う。」

 その会話を勿論聞いていたワルドは若干頬を引きつらせながら尋ねた。

「なあ、ランサー。今のは?」
「ん?昨日、いや一昨日だったっけな。そこの店で飲んだだけだぜ?」
「・・・お前は任務を分かっているのか!?情報収集だぞ!このトリステインが今どういう情勢なのかを報告するためのな!なのに何故お前は酒場なぞ練り歩いている!?」

 潜入だというのに
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