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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十三話 和解に向けて
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1センチ3連装砲が旋回し、ぴたりと狙いを付けた。
「主砲!!発射、テェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
轟音と共に放たれた巨砲弾は殿の軽巡に続けざまに命中し、粉みじんに吹き飛ばした。
「フン。」
尾張はまだ黒煙を上げている海上に漂う残骸を見ながら鼻を鳴らした。
「近接戦闘の名手?そんなものこちらから先制攻撃をかければ、物の数ではないわ。どうしてああいうことをいうのか、理解できない・・・・・。」
尾張は腰に手を当て、飛行甲板を水平にして艦載機の着艦をさばいた。
「口ほどにもなかったわね。これで私の旗艦昇格は確定。もう誰にも文句は言わせない――。」
その時左わき、左足にものすごい痛みと衝撃を感じた尾張は吹き飛ばされそうになり、よろめいた。顔を向けた彼女は信じられないものを見た。

水柱が立ち上り、それが力なく自分の頭上に落ちかかってきている。

「雷撃!?まさか、そんな――どうして!?」
はっと尾張は海面を見た。そこにゆらゆらと揺蕩うようにしているのは深海棲艦だった。それも3隻いる。
「生き残り!?バカな!?だって艦隊は私がすべて撃破・・・・まさか!?」
尾張はある可能性に行きあたって愕然となった。
「潜水艦!?」
その言葉が引き金になったのか、深海棲艦は再び魚雷を発射してきた。
「くっ!!回避、しないと・・・!!でも、体が!!」
それでも何とか回避した尾張の前に水柱が噴き上がった。
「ぐっ!!」
腕でかばった顔に水しぶきが落ちかかる。それを払いのけた彼女の前に、展開していたのは、戦艦2隻、重巡2隻をはじめとする敵艦隊だった。流石に不利だと思った尾張は反転しようとした。ところが先の雷撃で推進装置に損傷があり、思うような速度が出せない。このままでは敵艦隊に追いつかれてしまう。
「こうなれば艦載機を・・・・しまった!!」
雷撃を受けた時、飛行甲板が大破して、艦載機が発艦できなくなっていたのだ。
「こんな、こんなバカなことって!!」
尾張は叫びながら、残った唯一の武器――主砲、副砲――を撃ちまくり始めていた。


「尾張!!!」
紀伊は後方からはるか遠くで魚雷命中の水柱が立ち上がるのを見て、愕然となった。前方にやがて敵艦隊が出現したが、尾張が被弾した方角には敵影はない。となれば考えられるのは潜水艦が付近にいるということだ。
「尾張、尾張!!!」
「紀伊さんっ!!!」
走り出そうとした紀伊は吹雪の声を聴いて、頭を振った。
「私一人では・・・お願いします!!皆さん、力を貸してください!!」
「もちろん!潜水艦掃討作戦は私たちにお任せよ!みんな、いい!?」
阿賀野が3人を振り向いた。3人は力強くうなずく。
「紀伊さん、敵艦隊は紀伊さんにお任せします!!」
「はい!」
とまっている暇はなかった
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