第二十三話 和解に向けて
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て紀伊は驚いた。通常偵察は艦上戦闘機などが行うが、尾張の放ったのは武装が後尾にしかついていない見慣れないタイプだったからだ。
「あの・・・。」
「なに?」
「あれでいいの?武装、後尾にしかついていないようだったけれど・・・。」
「知らないの?」
尾張は驚いた顔をし、ついで軽蔑したような冷たい目を向けた。
「あれは彩雲よ。武装は確かについてないけれど、航続距離は三千キロ、最高速度は前世のF6Fヘルキャットとやらを凌ぐわ。ということは、あなたの烈風よりも上かもね。」
「なっ!?」
「偵察はね、戦闘が目的じゃないわ。いかに敵艦隊を発見し、有利な状況で攻撃するか。正面から戦って勝つなんて言うのはもう時代遅れよ。」
「・・・・・・・。」
「前にも言ったかもしれないけれど、航空機を捨て駒みたいにする作戦は私は最低だと思ってるわ。この前の沖ノ島攻略作戦なんかがいい例ね。」
いつになく尾張は多弁だった。
「航空機を犠牲にする作戦は私も反対だけれど、でも・・・・。」
尾張の言うことは正しかった。だが、どうも紀伊にはそれをすんなり受け入れることができなかった。確かに事実としては撃墜された航空機は多かった。だがそれは本当に捨て駒にされたのか?
「だからこそ最新鋭の紀伊型空母戦艦が艦隊の中核を担うべきなのよ。航空艦隊として艦載機を有効に運用し、かつ自身も砲撃戦に参加できる戦艦並の火力を持った次世代艦娘が。だから、もう水雷戦隊や空母、戦艦すらも時代遅れだわ。」
「それは、違うと思う。」
紀伊は言った。
「個性は必要よ。確かに水雷戦隊は近接戦闘が主流だわ。でも、彼女たちの力がなくては接近戦は戦えないし、護衛もしてもらえない。重巡はその速度と火力を活かして通商破壊、護衛等あらゆる面で頼りになる存在。空母もそう。私たちと比べて運用能力は高いわ。戦艦の砲撃能力と装甲は強固な盾となって全軍の中核を担う力になるし、安定感もある。こういった個性を活かしてこそ――」
「何言ってるの?マイナスを戦略戦術に入れたら、とんでもないことになるわよ。」
「マイナスって・・・・!!」
紀伊はこぶしを震わせた。どうしてこうなるのだろう。紀伊が言おうとしているのは、各艦娘の長所は誰もが真似できない不動のものだということだった。それに対して尾張の言葉は、それらの長所の裏返しのみをとらえ、マイナスとしてしか認識していないというものだった。
「じゃあ、尾張は私たちが万能だと言うの?一人で敵艦とまともに渡り合えるって言うの?」
「私にできないことはないわ。」
そのあまりの自信ぷりに紀伊は言葉を失った。その時だった。尾張がはっと顔を上げた。
「偵察機から入電・・・・前方10時の方角に敵艦隊。軽巡2隻、駆逐艦5隻からなる水雷戦隊・・・・。ちょうどいいわ!」
尾張は腕組みをといた
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