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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十三話 和解に向けて
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る時も、お茶をする時も、みんなで一緒に過ごしたいって。私たちそういう艦隊でありたいんです。」
「吹雪さん?」
「そうです。吹雪の言う通りです。だから紀伊さん、私たちも頑張りますから、一緒に尾張さんを叩き直し・・・・じゃなかった!!」
阿賀野はしまったというように口に手を当てたが、首を振って言い直した。
「皆で一緒にいられるような艦隊にしましょうね!!」
その声にはまだ怒りの余韻がこもっていたが、阿賀野は本気でそう思っている。そう紀伊は感じた。目が真剣だったからだ。そうできればいいと紀伊は心から思っていたが、どうすればその目標にたどり着けるかどうか、まったくわからなかった。

 紀伊たちがドックに行くと、尾張がもう来ていた。遅いと言いそうな顔だったが、彼女は珍しいことに何もいわず、無言でそれぞれの配置につくように促した。そのわけは紀伊にはわかった。ドックにいたのは尾張だけではなかったからだ。
「hey!!キー!!」
金剛が元気そうに手を上げた。そばに比叡、大鳳、讃岐、近江、そしてやや離れたところに高雄がいる。
「金剛さん!どうされたのですか?」
「私たちも哨戒任務に出マ〜ス。ちょうどキーたちの海域のすぐ隣ネ〜。」
「姉様!!哨戒任務が終わったら、一緒に帰りましょうね!!」
讃岐が金剛に負けない声で叫んだので、居合わせた皆は笑ったが、紀伊は真っ赤になり、尾張は反対に怒りのために顔色を青くした。
「・・・・ったく、仮にも紀伊型空母戦艦なんだからもうちょっとしっかりしてほしいわ。あんなはしたない大声出したりして!!」
「ふ〜んだ!!尾張姉様には関係ありませんよ!!」
「讃岐ったら!!」
近江がたしなめた。
「ごめんなさい。紀伊姉様。尾張姉様。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
『別に近江が謝ることじゃないと思うわ。』
期せずして尾張と紀伊の言葉がシンクロした。二人は思わず目を見合わせていたが、気まり悪そうにすぐに視線を外しあった。
 ゴホン、と咳払いが聞こえた。見ると高雄が冷たい目で皆を見ている。
「用意はよろしいですか?行きますよ、戦艦、空母の先輩方。」
「Oh!高雄、そんなにcoolにしなくてもイイじゃないですか。あなたが旗艦なのですから、もっと気持ちを楽にして指揮してくださいネ。」
「そうできたらどんなに楽か・・・・・。」
つぶやくようにいった高雄がはっと顔を上げて首をブルブルと振った。
「出撃します。では後ほど。」
第四艦隊の艦娘たちは高雄を気の毒そうに見たが、結局何も言わなかった。不用意な言葉を放てば余計彼女を傷つけてしまうと思ったのかもしれない。第四艦隊のメンバーは発着台に立つと、次々と大海原に向けて出撃していった。
「私と同じ、か・・・。」
紀伊はそうつぶやいたが、内心、違う、と思っていた。
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