第二十三話 和解に向けて
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んて百害あって一利なしよ。」
「だったら!!!」
紀伊は思わず大声を出していた。出しながらはっとなっていた。これまでずっと我慢していたがついに限界を踏み越えてしまった。だが、いったんついた怒りはそう簡単に消えるものではない。
「だったらあなたがやれば!?」
「は?」
尾張が地図から顔を上げた。
「あなたは私よりも上なんでしょう!?完璧なんでしょう!?だったらあなたがやればいいじゃない!!!きっとさぞかし100%完璧な指揮ぶりを見せてくれるんでしょう!?」
「バカなことを。そんなことをしたら二人とも共倒れよ。一方は旗艦の指揮権を放棄したことで、一方は指揮権を無断で使ってしまったという理由で。」
「怖いの?」
言ってしまってからしまったと紀伊は思った。紀伊の言葉に尾張は目を開いていた。それは動揺ではなく怒りだったと気が付いた時には、もう手遅れだった。
「怖い?私が!?バカを言わないで!!!」
尾張は紀伊を正面から睨んだ。
「ならいいわよ。私が今度の哨戒作戦を指揮する。一人の犠牲も出さずに完璧な指揮ぶりで完遂させて見せる。その時は・・・・。」
尾張は紀伊をにらんだ。
「その時は提督と梨羽一等海佐に、あなたの旗艦の解任を要求する。そしてあなたはそれに反対しない事。」
紀伊は何か言いかけたが、それは言葉にならなかった。あまりにも断定的な尾張の言葉に委縮してしまったようだった。
「尾張さん、そんな勝手に――。」
「黙っていなさい!!」
「ぴゃあっ!!」
止めようとした酒匂があまりの尾張の迫力にびっくりして飛びのいた。
「1時間後にドックに集合!!その前に今回の哨戒ポイントを説明するから、しっかり頭に叩き込んでおいて!!」
尾張は一同をにらみ渡した。
「紀伊さんっ!!」
悄然とドックに足を向けた紀伊は背後から呼び止められて振り向いた。阿賀野、そして吹雪が立っていた。
「紀伊さん、あんな言われかたをされていいんですか?」
阿賀野がきつい調子で言った。日頃温厚でほんわりしている彼女からは想像できなかった。阿賀野もここ数日のイライラがたまっているのかもしれない。
「ごめんなさい・・・・。不快な思いをさせてしまって。」
「私たちは別にかまいません。でも、紀伊さん、悔しくないんですか!?あんな失礼な言いかたされて、ずっと我慢して!!今日だってもっと言ってやればよかったんです。紀伊さんは尾張さんなんかに見下されるような人じゃないんですから!!」
「でも、私は・・・・。」
「紀伊さん、その、うまくいえないですけれど・・・。」
吹雪が口を挟んだ。
「私たちも尾張さんの事、あまり好きじゃないです。でも、誰か一人のけ者にするのはもっとずっと嫌です。紀伊さん初日におっしゃっていましたよね?訓練の時も、任務の時も、ご飯食べ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ