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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十三話 和解に向けて
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。すばやく打ち合わせを済ませると、紀伊は右に迂回して敵艦隊に右翼から突撃し、阿賀野たちは左翼から潜水艦隊に向かった。
「艦載機隊、発艦してください!!」
最高速度で走りながら紀伊は飛行甲板から艦載機を次々と放ち、攻撃態勢を整えた。それが済むと、主砲仰角を直し、敵艦隊に向ける。紀伊はちらっと左を向いた。早くも尾張に接近し、潜水艦の進路を阻むようにした4人が一斉に爆雷攻撃を仕掛けるのが見えた。尾張が何か叫んだようだったが、4人はやめようとしなかった。
「尾張!!」
紀伊が叫んだ。反対側から突撃してきた姉に驚いた尾張がまた何か叫ぼうとした。
「尾張、どきなさいっ!!!」
その気迫に思わず進路を譲った尾張の向こうに敵艦隊がいた。その時には既に紀伊の発艦した艦載機隊が攻撃を開始し、陣形が乱れていた。
「今よ、全主砲、斉射、テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
轟然と41センチ砲が火を噴き、次々と敵艦に命中する。だが、敵艦隊も突撃をやめない。艦載機隊に果敢に応戦し、火を噴き上げながらなおも尾張めがけて接近してきた。
「まずい!!」
紀伊は尾張を庇うようにして前面に出ると、至近距離からの砲戦に転換した。次々と敵艦が炎上して没していくが、紀伊も無傷では済まなかった。特に前方の最前線にいる敵戦艦は相当な練度だった。何度も至近弾が彼女をかすめ、時には砲弾が彼女の艤装を傷つけた。
「これほどの練度、並の戦艦じゃない・・・あれは、あれは・・・!?」
一つの可能性に思い当たった紀伊の眼が見開かれた。
「あれは・・・・ル級フラグシップ!?」
旗艦級戦艦はその火力と装甲に加えて、練度において艦娘たちに劣らなかった。下手をすれば戦艦クラスでも一撃で大破に追い込まれることもあるという。このことは紀伊は以前榛名たちから聞いていたが、実際に実物を見るのは初めてだった。
「何をしているの・・・・!!」
不意に後ろから肩をつかまれた。尾張が顔をひきつらせながらあえいでいる。
「私はいいから・・・早く逃げなさい!!このままじゃ二人とも死ぬわよ!!」
「何言ってるの!?そんな馬鹿なこと!!!」
紀伊は尾張の手を振りほどいた。
「バカなこと?!このまま戦えば二人とも死ぬわ!!主砲も艦載機も放つことができない私なんか、おいていけばいい!!私は・・・・。」
紀伊は驚いた一瞬だったが尾張の声が湿っていたからだ。この瞬間紀伊は尾張の胸の内を読み取った。プライドの高すぎるこの妹が深海棲艦にやられ、軽蔑する姉や艦娘たちに助けられている。

それ以上に自分が「お荷物」と化している。
それが妹にはどんな傷よりも耐え難かったに違いなかった。

「私は、もう――。」
「違う!!!」
紀伊は叫んだ。そして尾張の肩をつかんで無理やりに顔を向けさせた。
「あきらめない
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