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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十六話 交渉の始まりです。
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ずきを示した。
「あなたはどうやらこの交渉事の根底にある重要なファクターをよくご存じのようだ。その通りです。異なる文化を持つ者同士が初対面で分かり合えることなど、奇跡に近い事だ。そのようなことが常態化するのは物語の中だけの話です。同じ共同体の中でさえ十人十色の考え方や価値観があるというのですからな。」
「お二人で話を進めておられるところ、恐縮だが。」
ブラウンシュヴァイク公爵が皮肉交じりな声で割って入った。
「では、どうすればいいのか、聞かせてもらおうか。」
「まさか、互いのことを理解しあうために、話し合いの場を重ねて持つ、などと言うのではないだろうな?」
リッテンハイム侯爵の皮肉満載の言葉に、
「その通りです。早急な交渉事は破たんを招きます。」
と、ラインハルトは応えた。
「フン!!」
リッテンハイム侯爵は頭をそらした。やや白けたような空気が漂った。リッテンハイム侯爵の態度がやや行き過ぎてしまい、両者の間に壁を作ってしまったような雰囲気が漂っていたのである。これを見て取ったアドリアン・ルビンスキーが、
「どうですかな、ここで御両所の意見を文書にしたものがあるかと思いますが、それを交換なさってはいかがかと。」
自由惑星同盟側も帝国側もこの言葉には同意を示してうなずいた。ルビンスキーは曲者だったが、KYではなく、議事の進行に今のところは尽くしてくれている。一部でほっとした空気が流れ始めていた。
「むろん。」
ブラウンシュヴァイク公爵がピエール・サン・トゥルーデに向き直り、
「当方としても、この第一回の交渉で成果が出るとは思っておらん。話し合いは重要だとは思っている。そこで、あらためて言うが此方からの草案を作成した。」
ブラウンシュヴァイク公爵が促すと、アンスバッハが携えていた書類ファイルから封印された一通の封書を取り出した。
「承知しました。当方からも同じく、草案を持参しておりますので、本日の会議はそれを交換し、検討いたすことといたしましょう。」
外交委員長が傍らの次官からブリーフファイルを受け取り、そこに入っていた封印された一通の封書を取り出して、最高評議会議長に渡した。
 
 双方がたちあがり、テーブル越しに封書を交換した。その少し前に許可を受けて入ってきたメディアがカメラに収める。ほどなくこの光景がハイネセンや同盟全土に放送されることとなるだろう。


ハイネセン統合作戦本部ビル――。 宇宙艦隊副司令長官室――。

ヤン・ウェンリー准将はジャン・ロベール・ラップ中佐と共にシドニー・シトレのオフィスに赴いて、交渉の推移を見守ることとなった。ヤンはあの式典の後、とんぼ返りをしてハイネセンに戻ってきていたのである。
「副司令長官閣下は、今回の交渉については、どう見ておられますか?」
ラップの質問に、
「帝
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