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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
裏切り
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脚を動かし、一歩ずつ前進しながら近づいてくる。

「僕を倒したら……僕の中のコペルも消えてしまうよ」

このオートマトンは俺に、自分を倒せるのかと、と問うているんだ。

だが、答えるまでもなかった。

「お前達オートマトンは……《心》までコピーできるわけじゃない。それに、誰に擬態していようが関係ない。俺はお前らを……倒す!」

《彼》を殺された時に抱いた憎しみは、今でも脳裏に刻まれている。

一瞬の迷いもなく俺は、右手の親指でカブトゼクターの脚に設置された3つのスイッチを順に押した。

【One】【Two】【Three】

左からスイッチが順に押され、電子音声が3回流れた。続いてカブトゼクターの角を左側に戻し、再び右側に展開した。

【Quick Charge】

最後の電子音声が流れ始めた途端、稲妻がゼクターを伝って右足に収束した。

「砕け散れ!」

両足を少し(かが)め、地面から上に飛躍(ひやく)した。

エネルギーの溜まった右足を前に突き出し、ファイアフライに目掛けて飛び蹴りを撃ち込む。

必殺キック__《クリムゾン・ディメンション》が撃たれる矢先に、擬態コペルは再び全身からナノマシンを湧き出し、ファイアフライに戻ったが、時すでに遅く、

ビシュン!!

「ギシャアアア!!」

キックをまともに喰らい、後ろへ飛ばされた。

地面に倒れた瞬時に、ドカアァァン!と爆裂(ばくれつ)霧散(むさん)した。

SAO世界におけるモンスターやオブジェクトのように、ポリゴンの爆散エフェクトを発生させて消滅することはなく、普通に爆発で消滅した。これが、SAOという人界を超えた存在の証、と俺は脳裏で呟いた。

俺の意志に応じたカブトゼクターが自動的にベルトから外れ、ビュゥー!という翅音を鳴らしながら空の彼方へ飛び去った途端、俺の全身を覆っていたアーマーがゆっくりと飛散し、その欠片がベルトに吸い込まれていく。わずか数秒で俺はプレイヤーとしての本来の姿に戻った。

変身解除した後も、俺はファイアフライ・オートマトン/コペルが最後を遂げた場所を眺めていた。

正直、今の自分がどんな気持ちなのかはわからない。哀れみ、憎しみ、悲しみ、どの感情に当てはまるのか__。

身も心も枯渇(こかつ)し、生気や(うるお)いが感じられなくなった俺には、感情というものさえ曖昧になった。

自分は相変わらず希薄(きはく)のままだが、少なくとも今日の経験を得て、強くなるべきという気持ちが以前より増した気はした。生還するためではなく、仮想と現実という双方の世界が秘める究極の可能性と、自分を罰しようとする戦いを続けるという、人には言えない欲求ゆえである。

俺は《ホルンカの村》に帰還するため、小径(こ
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