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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
裏切り
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みち)を東に向かって歩き始めた。
時刻は夜9時。晶彦のチュートリアルが終了してから、すでに3時間が経過している。
さすがに、村の広場には数名のプレイヤーの姿があった。彼らもベータテスターなのだろう。この調子でベータ経験者だけが先に進み、いずれ非経験者達との間に深刻な溝が生まれかねないが、俺にとってはどうでもいいことだ。危惧すべきなのは、クエストの報酬と、オートマトンという心配の種だけだ。
オートマトンが仮想世界に潜伏しているとなると、《メタヴァーミン》も潜んでいる可能性が高い。
俺にとっては両方とも危惧するべき問題だ。仮想モンスターの相手でも手一杯だというのに、新たな問題に流れ込まれてきたらたまったものではない
俺は村の奥にある民家を目指して移動していた。目的の家の窓にはオレンジ色の明かりが灯ってる。
ドアを開けると、相も変わらず釜戸で何かを煮ているおかみさんが振り向いた。頭上には、クエスト進行中を示す金色の《!》マークが浮かんでる。
歩み寄り、腰のポーチから、中心が仄かに光る薄緑色の球体《リトルネペントの胚珠》を取り出して渡す。
おかみさんは、一気に顔を輝かせ、胚珠を受け取った。礼の言葉が連射されると同時に、視界左でクエストログが進行する。胚珠をそっと鍋に入れたおかみさんは、部屋の南に置かれた大きな
長櫃
(
ながびつ
)
に歩み寄り、蓋を開けた。中から、初期装備とは段違いの存在を放つ長剣を取り出す。俺の前に戻ってくると、再度の礼と共に、剣を両手で差し出した。
「………」
俺は一言も喋ることなく、それを受け取った。
新たな剣《アニールブレード》をストレージに格納すると、近くの椅子の座り込んだ。クエストのせいで精神的に疲労し、少しだけ休息を取ることにした。
おかみさんは再び釜戸の鍋をかき混ぜている。やがてかき混ぜるのを止めると、棚から木製のカップを取り、鍋の中身をおたまで注いだ。
湯気の立つカップを、さっきの剣よりもずっと大事そうに捧げ持ち、奥のドアを開けたおかみさんは、薄暗い部屋へと足を進める。俺は部屋の中が気になり、敷居をまたぐ。
そこは、小さな寝室だった。調度は壁際のタンスと窓際のベット、後は小さな椅子が1つしかない。そしてベッドには、7、8歳くらいの少女が横たわってた。月明かりの下でもわかるほど顔色が悪い。首も細く、シーツから覗く肩は骨張っている。
少女は、母親に気づくとわずかに瞼を開け、次いで俺を見た。俺を見た瞬間、血の気のない唇に、
仄
(
ほのか
)
に微笑みが浮かんだ。
母親が右手を伸ばし、少女の背中を支えて起き上がらせる。途端、少女は身を屈め、コンコンと咳き込んだ。茶色い3つ編みが、白いネグリジュの背中で力なく揺れた。
俺は少女の傍らに表示され
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