信頼
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女をその事態から逃れさせようとし、大声を張り上げたカグラだったが、それに被せるようにソフィアが全く同じことを叫んだ。
(やられた)
ギリッと奥歯を噛み締め、正面の離れ島にいる銀髪の少女を見る黒髪の女性。彼女の声かけのおかげでミリアーナはその場に留まることができた。しかし、敵ならば混乱している彼女を助けることは、普通に考えてありえない行動だ。そのため、もしかしたらソフィアの声を本物と判断し、ミスジャンプをしてしまう可能性があるとカグラは考えたのだ。
「えっと・・・」
だが、肝心のミリアーナには誰の声なのか正確に聞き取れていなかった。軽いパニック状態に陥っていた彼女には、どこから声が飛んできたのかを気にしている余裕などなかったからだ。
(むぅ〜、おしかったなぁ)
カグラの声にうまく被せることができたソフィアは、自分の思惑通りにことが進められなかったことに悔しそうにしている。いいタイミングで声を発することができただけに、ここで自分が味方だと勘違いさせて、そのままウェンディ優勢にゲームを進めたいと思っていたのに、完全に失敗してしまったから悔しさがいつもよりも大きく膨れ上がっていた。
(でも、たいぶ困惑させることはできたかな?)
その中で、一瞬だけ少女は不敵な笑みを浮かべる。チラッと横目で隣のフィールドにいる少女と男の娘たちの方を見てみると、すでに候補が絞れているように見てとれた。
自チームのプレイヤーたちの進行度を確認した彼女は、他の二人の仲間にアイコンタクトを取る。視線を送られた二人の蛇姫は、彼女が言いたいことを感じ取ったらしく、相手にわかるようにうなずいてみせた。
(ウェンディは必ずシリルを見分けられる)
(シリルがウェンディを絶対に導いてくれる!!)
(だからソフィアたちのすることは、それまでの時間を稼ぐこと)
打ち合わせをする時間など一切なかった。だが、三人は全員揃って全く同じことを考えていた。二人だったら必ず引かれ合う、絶対に正解を選ぶことができると、信じていた。
(早く決めろよ、シリル)
(落ち着いてね、ウェンディ)
レオンとシェリアはそれぞれのもっとも親しい友に向け、心の中でエールを送る。徐々に動いていく互いの策を前に、どちらが勝利を掴むのか、それはまだ、誰にもわからない。
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