188部分:第二十五話 一人の帰還その七
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第二十五話 一人の帰還その七
「力も心も。人としての正義なのです」
「意味がわからんが」
「力も心も同じ!?」
「しかも人の正義と」
「即ちアテナの正義」
彼は今度はこう言った。
「アテナの正義であるのだから」
「つまりです」
ムウは頭の中でシャカのここでの言葉を整理しながら述べた。
「人を護るのはアテナの正義であるというのですか」
「如何にも」
目を閉じたままだが確かにムウに対して頷いてきた。
「それこそが我等のよって立つものではないのですか?」
「そんなの言うまでもねえだろ」
「全くだ」
デスマスクとアイオリアがまずそれに応えた。
「俺達は痩せても枯れても聖闘士だぜ」
「それで何故アテナを忘れる」
「それだけは絶対にない」
「全くだ」
今度はカミュとミロが言った。
「ましてや我等は黄金聖闘士」
「言うならばこの聖域の象徴」
その誇りもあるのだった。伊達に黄金の聖衣を身に着けてはいないということだ。流石に今彼等は私服ではあるが。それぞれ銘々の個性が出ている私服を着ている。
「それで何故アテナの正義を忘れるのか」
「それだけはありません」
シュラとアフロディーテも断言する。
「何度生まれ変わってもそれは言える」
「私もです」
「しかしシャカ」
最後にアルデバランが彼に問うてきた。
「何故今それを?」
「それでですか」
「そうだ。言うまでもないことだ」
彼は少し首を傾げさせてシャカに告げた。
「アテナの為にということはな」
「そうだな。それはな」
「その通りだ」
デスマスクとシュラもまたここでも意見を同じにさせていた。
「何度も言うが俺達はアテナの聖闘士だ」
「わかりきっていることではないのか?」
「確かにその通りです」
シャカもまたそれは否定しない。
「ですが。何度生まれ変わっても」
「はい、偽りではありません」
アフロディーテが述べた。
「これは誓って言えます」
「前と同じだと思いまして」
「前とだと!?」
カミュは今のシャカの言葉にその眉を顰めさせた。
「どういうことだ、それは」
「前とだと。俺達は今までと変わらないが」
ミロも今のシャカの言葉の意味はわからなかった。
「前とは。一体」
「かつての聖戦において」
シャカの言葉はここで一気に遡った。
「同じだと思い」
「さらにわからないな」
アイオリアは首を傾げるばかりだった。
「かつての聖戦といえばハーデスとの戦いの時だが」
「その時と同じとは」
ムウにもシャカの言葉の意味はわからない。
「どういうことなのでしょうか」
「少なくともそれで安心はしています」
やはりシャカの言葉は彼等には容易にわからないものであった。
「それでです」
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