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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 30
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(勲章は無い)を着用している青年が、同類の騎士達を格下扱いしたり、自警団を同等か格上に見てるのは、序列的におかしい。
 指先を辿って騎士達の様子を窺った後、再び青年の顔を見直すと、彼は苦笑いで「守秘義務だから」と答えた。
 (守秘義務……職務上知り得た秘密を守らなくてはいけない義務。騎士が義務を負う程度に隠しておきたい何かが『ネアウィック村の自警団』にもあるんだ)
 ハウィスは、正規任務中のベルヘンス卿に、無理なお願いをした。
 彼らはミートリッテを護る為に本来の仕事を休んでいるのか……或いは、ミートリッテの守護そのものが本来の仕事に近いのか。
 (『彼女の願いであり、俺達に与えられた『役目』の一つ』……ハウィスの他にも、私を護れと「俺達」に命じた人間がいる。この人が敬称を使ったのは「あの方」と「我が主サマ」で……あれ?)
 何処かで聴いた組み合わせに眉を寄せると……
 いきなり、耳に覚えがある愉しげな笑い声が夜闇の中で響き渡った。

 「あは! ブルーローズ、みぃーつけた。」


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