第九話 動揺
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かったからさ」
なんでかな。ど真ん中投げても大丈夫! そんな風に思っちまったんだよ。
「おーいコウ。記者の方がインタビューしたいって」
知らせに来てくれた中西に呼ばれて記者の取材を受けようとしたが。
通路に出たところで。
「こら、待ちなさい! ああん、またそんなダラシない格好して。髪もボサボサ。まったく、もう!」
青葉にガミガミ言われながら直された。
本当……
「何よ?」
「若葉みたいだよな……」
「ば、馬鹿なこと言ってないで早く行きなさいよねっ!」
いつも通りの関係。いつものやり取り。
こんな毎日だが、俺はこのやり取りが好きだ。
その後、何社も取材を受けたせいもあり。
次の日、各新聞の見出しにはデカデカとこう書かれていた。
『光速エース! またまた完全試合達成』
『160q右腕、樹多村圧巻20奪三振』
『決勝の相手は名門明独義塾』
『明日決勝、東京代表心配するな。星秀には光(速エース)がいる』
『21世紀のゴジラか?? 星秀東。2HR4打点!!!』
決勝当日。その日朝から大雨だった。
試合は雨天中止。延期となり。休養日。
「月島が降らせてくれた……のかもな」
宿泊所の部屋の中で赤石は俺を見ながら呟いた。その視線は俺の肩に向けられている。
俺の肩は張っていた。昨日までなんともなかったんだけど。
「ああ、そうかもな」
あれだけ連投すれば張らない方がおかしい。
星秀には生憎酸素カプセルなんてもんはないから、身体を休めて回復させるしかできない。
俺の肩を気遣ってくれたのかもな。若葉の奴。
「疲れたか? ……なんて聞くなよ?」
「全然……なんて答えるなよ?」
「なあ、決勝で……かな?」
「多分、な。決勝がきっと月島若葉が見た『夢の舞台』だ!」
「……なあ、赤石……」
「あん?」
「勝とうぜ! 絶対」
「ああ、勝とうぜコウ!」
そんなことを言っていたその時だった。
「アイタタ……」
苦しそうな呻き声が聞こえてきた。
「おい、三谷?」
「どうした?」
「腹が……腹が……痛い、痛い」
「おい、しっかりしろ三谷!!!
救急車、おい誰か監督呼んでこい!」
「おい、しっかりしろ、三谷!!!」
……おいおい、マジか?
夕方になり三谷の容態が明かされた。三谷は病気だった。
病名・虫垂炎。盲腸炎の方が一般的には知られている。虫垂や盲腸が炎症した症状。
発見が遅れたせいか緊急手術を受けることになり入院という事態になってしまった。
監督から説明を受けた俺やチームメイトは動揺した。
特に二年生
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