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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十五話 伯父・甥
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インを盟主として反逆を起すと」
伯父上の一番弱い所を突いてきたか、ランズベルク伯アルフレット、詰まらない詩を作っているだけの男だと思っていたが……。
エリザベート、サビーネを攫ったか、それでは伯父上もリッテンハイム侯も望まずとも起たざるを得なかっただろう、哀れな……。伯父上の心境を思うとやるせなさが募った。
「それにしても卿の暗殺に失敗するとは、伯父上も運が無い」
「そうでもありません。もう少しで、アントンに殺される所でした」
「そうか、もう少しか、やはり伯父上は運が無いな」
私の言葉にヴァレンシュタインは微かに笑いを見せた。苦笑したのだろうか。
「アントン達は、公の元に逃がしました」
「どういうことだ?」
暗殺者を逃がした? 何を考えている、ヴァレンシュタイン。
「詳しくは話せませんが、フロイライン達をランズベルク伯から取り戻すように頼んでいます」
「……」
「ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は救えませんが、フロイライン達は何とか救いたい」
「あの伯父上の檄は卿が仕組んだものか?」
「……」
ヴァレンシュタインは無言で頷いた。
「そうか、エルウィン・ヨーゼフ殿下は当てにならんか」
「フロイライン達を救うというのは私だけの考えでは有りません。リヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ両元帥との合意事項です」
ヴァレンシュタインは生真面目な表情で答えた。
信じてもいいだろう。彼らにとってもエリザベート、サビーネは必要だ。見捨てる事は出来ない。彼女ら二人を救えるとなれば伯父上にとってもリッテンハイム侯にとってもせめてもの救いだろう。
「卿らも苦労するな」
皮肉を言ったつもりは無かった。しかしヴァレンシュタインは苦笑している。皮肉に聞こえたのかもしれない。
エルウィン・ヨーゼフが当てにならないなら最初からエリザベートを次期皇帝としておけば良かった。だがそれでは貴族達の時代は終わらない、ヴァレンシュタイン達が目指す新しい帝国を作る事は出来ない。国家とはなんと厄介で面倒なものか……。
「ヘル・ファルマー、これからどうなさるつもりです」
「……」
「もしブラウンシュバイク公の元に行こうとしているのなら止めてください」
「……」
「行けば今度こそ貴方は死ぬ事になる。反逆者として、そして死んだと帝国を欺いていたとしてです」
確かにそうだろう。死んだはずの人間が生きていて、しかも反乱に加わったとなれば許される事は有るまい。
「ヴァレンシュタイン、私は……」
私は最後まで喋る事が出来なかった。ヴァレンシュタインは私の言葉を遮り話し始めた。
「ヘル・ファルマー、ブラウンシュバイク公をこれ以上苦しめないで頂きたい」
「……苦しめる?」
思いがけない言
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